全人代では多くの成果が報告された。しかし国民の目は冷めている。今や「小さな幸せ」を求め始めているのだ。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が3月5日から13日まで北京で開かれた。全人代の初日にあった政府活動報告(報告)を伝える日本メディアの紋切り型の記事は、読んでいてむなしくなった。
キーワードの登場回数やこれまでの報告との違いを比べて分析。そのうえで習近平政権へのダメ出しを強調するばかりだ。日本の記者は認めたくないかもしれないが、これまでの中国政府の現状認識とその対処法は妥当なものが多い。
国有企業による供給過剰を削減し、脱化石燃料のため太陽光発電や風力発電に大きく舵を切った。その結果、健康被害をもたらすPM2.5(微小粒子状物質)は激減。特許や知的財産を無視したパクリ天国だったのを取り締まり強化で大幅に解消した。それにも連動するが特許取得数は今や世界有数だ。さらに食料自給率を上げ、農村の貧困者数も減らした。
全人代への国民の反応
3月6日、習国家主席は全国政治協商会議の傘下組織の委員たちとの会合で、「諸外国のインフレ率が40年ぶりの水準を記録する中、わが国の物価は安定を保ち、年間の経済成長率も3%と主要国で最も高い」と胸を張った。ロックダウンによる経済失速のイメージが強いが、成長率は西側のほうがはるかに低い。
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