教職員95%「ウェルビーイング向上」、平方北小が活用した3つの科学的根拠 児童たちが主体的になり高学年の学力もアップ

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WHO(世界保健機関)憲章前文で、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されている「ウェルビーイング」。今、世界的に注目されている概念だが、3月8日に取りまとめられた「次期教育振興基本計画」の答申においても、「持続可能な社会の創り手の育成」とともに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が打ち出された。こうした中、すでに「ウェルビーイングな学校づくり」を行っているのが、埼玉県上尾市立平方北小学校校長の中島晴美氏だ。その狙いや、教員、子どもたちの変化について話を聞いた。

「先生が健康で幸せでなければ子どもたちの変化に気づけない」

OECD(経済協力開発機構)の「Learning Compass2030」において世界共通の教育目標として掲げられた「ウェルビーイング」。2023年~27年度の教育施策の基盤となる「次期教育振興基本計画」の答申においても大きな柱として掲げられており、「身体的・精神的・社会的に良い状態にあること。短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念」と説明されている。

ウェルビーイングは科学的な研究や分析も世界各地で行われており、そうしたエビデンスをいち早く活用しているのが、埼玉県上尾市立平方北小学校校長の中島晴美氏だ。同校に着任した2020年度から、ウェルビーイングを学校経営に取り入れ始めた。学校運営協議会の助言もあり21年度からは学校経営方針として掲げ、本格的に取り組んでいる。その理由について、中島氏はこう話す。

中島晴美(なかじま・はるみ)
埼玉県上尾市立平方北小学校 校長
2020年より現職。同県北足立北部地区道徳教育研究会会長、同県教育課程実践事例集編成委員外国語部長、同県社会教育委員および同県生涯学習審議委員、同県公立小・中学校女性校長会幹事、日本の教育とウェルビーイングの未来を考えるシンポジウム実行委員。日本ウェルビーイング学会所属。Happiness Study Academy在学。ウェルビーイング、道徳科、外国語科を研究し続けている。著書『ウェルビーイングな学校をつくる――子どもが毎日行きたい、先生が働きたいと思える学校へ』(教育開発研究所)、共著に『99%の小学生は気づいていない!? ウェルビーイングの魔法』(Z会)

「ウェルビーイングの向上が、学校教育目標に近づく第一歩だと考えるからです。先生たちが健康で幸せでなければ子どもたちの小さな変化にも気づけません。子どもたちの幸せのためには、職場のウェルビーイングが大切なのです。実は私自身、子育てをしながら教員を続ける中で、忙しさのあまり『余裕があれば自分らしさを出せたのに』と苦しんだ時期があり、当時の私のような先生をつくってはいけないという思いが根底にあります。先生たちが日々幸せで、たとえ苦しいことがあっても耐えうるような安心できる職場を、校長は考えなければいけないと思うのです」

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