パナソニック、「縦割り打破」を試される重要事業 空気ビジネスに残る分断、抵抗感は今なお

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パナソニックが停滞から抜け出せない。最高益を達成したのは1984年と今から40年近くも前のことだ。そうした状況を打破すべく、2022年4月に非合理的だった事業組織の改編を行った。そのひとつが空調事業を手がける空質空調社だ。

エアハブトーキョー
日本橋にあるエアハブトーキョーでは来訪した顧客と空調機器の設置方法について議論できるように天井裏の一部が見えるようになっている(写真:パナソニック)

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東京・日本橋。ここにパナソニックが2022年6月に新設した空調機器の実験施設「エアハブトーキョー」がある。同社が法人向けに製品化を目指す気流の発生装置や空調機器を搭載した個室型会議ブースなどがある。

不動産オーナーやデベロッパー、企業の担当者を招き、製品や技術を体感してもらうほか、新製品を法人顧客とつくる共創につなげたい考えだ。パナソニック空質空調社デザインセンターの木原岳彦所長は「試作品を自社ビルに入れたいという話や顧客の施設で実際に設計やデザインを行い、仕様を合わせた改造を提案するなど顧客とビジネスをつくれている」と話す。

多くの企業が取り組む共創空間。しかし、パナソニックにとっては他社との協業にとどまらない意味がある。

2022年4月、パナソニック(現パナソニックホールディングス)は前年に経営トップに就任した楠見雄規社長CEOのもと経営体制を持ち株会社制へと変えた。傘下の事業会社の経営自由度を高めて成長力を強化するためで、あわせて各事業会社が担う構成事業も見直した。

とくに焦点となったのは、分野が重なるにもかかわらず母体の違いから長らく組織が別々だった事業の融合だ。その象徴として誕生したのがエアコンや換気装置を手がける空質空調社だ。

ようやく実現した事業融合

家電分野を担うグループ最大の事業会社「パナソニック」傘下にある空質空調社は、家庭用ルームエアコンで国内トップクラスのシェアを誇るほか、換気扇やガス空調、トンネルでの換気装置など幅広い空調製品を取り扱う。

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