パナソニック社長が痛感した「競争力喪失」の根因 創業者が目指した経営からほど遠くなった

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合弁を組むトヨタとの収益力の差は、現場力にあると語るパナソニックの楠見社長。松下幸之助が描いた経営の原点に立ち返ることが必要だと強調する。

パナソニックは創業者亡き後、何を失ったのか。楠見社長はインタビュー中、一冊の資料を取り出した(撮影:尾形文繁)

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パナソニック創業者である松下幸之助が死去したのは1989年のこと。2021年に社長に就任した楠見雄規氏は、新卒でパナソニックに入社した直後、その訃報に接した。
「創業者の目指していた経営とほど遠くなった」。楠見社長は現状のパナソニックをそう分析し、社員の意識改革の必要性を訴える。
業績が停滞し続ける巨艦をどう立て直すのか。インタビュー前編では、海外勢との競争が激しい車載電池の成長戦略や、不採算事業の方向性について考えを聞いた。後編となる今回は、2030年までにCO₂(二酸化炭素)排出量実質ゼロにするなど環境重視の戦略を掲げた真意など、楠見氏自身の経営理念を語ってもらった。

トヨタとの差は「現場力」

――CEO就任後、各事業の競争力強化に2年間を設定しました。もうすぐ1年が経過しますが、間に合いますか。

2年間と言い出したのは2021年4月。「1年目から変わってほしい」と思っていたことからすると、(現状に)焦りを感じている。

2年という期間は「えいや」と(勢いで)決めて、短かったかなと思ったができないといけない。プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES、トヨタ自動車と合弁事業化した角形電池事業)の収益改善は、1年半でできたからだ。

――角形電池事業は2020年4月にトヨタと合弁事業化して以降、収益力が急激に回復しました

3年ほどトヨタと付き合い、その間に彼らはすばらしい業績を残しているが、われわれは悶々としている。その差は現場力にある。

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