車載電池は諦めていない 組織を変え競争力高める スペシャルインタビュー/パナソニック 社長 楠見雄規

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再成長の糸口を探すパナソニック。競争力を失った根因は何か。昨年就任したトップを直撃した。

くすみ・ゆうき 1965年奈良県生まれ。89年京都大学大学院工学研究科博士課程前期(修士)修了後、松下電器産業(現・パナソニック)入社。2014年役員兼アプライアンス社上席副社長、19年常務執行役員兼オートモーティブ社社長などを経て21年4月CEO、同年6月社長にそれぞれ就任。(撮影:尾形文繁)

かつてのライバル・ソニーが過去最高の売上高を更新する一方、長年にわたり業績が停滞しているパナソニック。昨年春にCEO(最高経営責任者)に就いた楠見雄規社長は、会社を成長軌道へ戻すにはどうすればいいか自問自答を続けている。

昨年9月には、約7800億円を投じてサプライチェーン効率化を手がける米ソフトウェア企業・ブルーヨンダーを買収。一方でEV(電気自動車)向けの需要拡大が見込まれる車載電池は、世界シェア3位ながら、巨額投資を打ち出す海外勢と比べ出遅れが目立つ。持ち株会社制への移行を4月に控え、どう競争力を復活させるのか。

──ブルーヨンダーを昨年、完全子会社化しました。再成長の起爆剤にできますか。

30年間成長できておらず、投資家に心配をかけている。ブルーヨンダーだけで成長軌道に乗せられるわけではない。

これまでにもパナソニック電工(旧松下電工)や三洋電機を買収し、(車載事業などに)1兆円の戦略投資を行った。ただ、チャレンジはうまくいかなかった。会社の体質を基礎から構築し直すことが必要だ。

ブルーヨンダー買収も、短期的な成長ではなく長期スパンで体質を変えるためだ。利益率などの数値目標はわかりやすいが、課題はもっと根源的なところにある。

根源的な課題がある

──2020年にブルーヨンダーへ20%出資しましたが、その後同社の評価額はさらに上がり、もっと早く決断すれば買収金額を抑えられたはずです。決断の遅さが悪影響を及ぼしていませんか。

だからこそ持ち株会社制にする。(今の経営体制では)各事業のトップが集まっても、それぞれの事業や、会社全体の立場に立った議論につながらない。

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