仙台市の基幹病院を襲った貯水槽損壊、入院患者数を大幅削減、新規手術も中止【震災関連速報】
仙台市で最も重篤な患者への医療を担う国立病院機構仙台医療センター(病床数698床、和田裕一院長)。救命救急センターを擁し、生命が危ぶまれている患者への治療を行う同センターが深刻な事態に見舞われていることが明らかになった。仙台医療センターは3月24日、入院患者数の大幅な削減および新規患者の原則受け入れ中止、スケジュールの決まっている手術(定時手術)の原則中止を決定。翌25日から患者や家族に方針の伝達を始めた。
同センターによれば、予定退院を含めて入院患者100人程度をほかの病院に転院させるための紹介手続きを開始。28日から、重傷救急患者とすでに入院している患者の手術を除き、定時手術の中止に踏み切る。新規入院患者の受け入れや定時手術の再開は4月中旬になる見通しだ。
医療の縮小に追い込まれた原因は、東日本大震災で発生した病棟の屋上にある貯水槽の亀裂が余震などによって拡大し、生活用水としての給水が困難になったことにある。この緊急事態は3月24日午後5時30分からの院内緊急会議で院長から各診療科に伝えられた。
これを受けて、手術部門では「28日の週に予定していた1日10例前後の手術の中止を余儀なくされた」(川村隆枝・仙台医療センター麻酔科医長兼手術管理部長=写真)。手術部門では、東日本大震災で大幅に縮小していた定時手術の本格再開に向けて医師や看護師の確保に努めてきた矢先に、逆に大幅縮小に追い込まれた。
同センターでは貯水槽の損壊により、水の供給が通常の3分の1以下に減少。通常診療を遂行するための許容限度を超えたという。同センターでは、「貯水槽の損傷は大きく、修理は不可能で新規交換が必要」と判断。復旧は4月中旬までかかるという。
東日本大震災では多くの病院が被害を受けたが、「設備の損傷が医師などのマンパワー不足以上に復旧の障害になっている」(前出の川村氏)。そうした中での基幹病院での診療縮小は、ほかの病院の診療体制に影響を与えることも懸念される。被災地仙台の医療復旧は再び厳しい状況に直面している。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
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