ギフテッド教育とは?メリット・デメリット・問題点、日本やアメリカでの事例を紹介
・ エンリッチメント方式
ギフテッドの子どもも一般の子どもたちと過ごしますが、難易度の高い課題を出されたり、スペル大会、サイエンスフェアなど各種コンテストへの参加を促されたりなど、本人の才能を伸ばす機会を与えられます。
・ アクセルレイト方式
いわゆる「飛び級」「飛び入学」です。年齢ではなく、本人の能力により、早期にキンダーガーデンに入学したり、1学年飛び越して上の学年や学校に入ることができる制度があります。
・ サマースクール方式
夏休みに、ギフテッドの子どもたちを対象にしたキャンプや集中講義が全米各地で開催されます。中でも、ジョンズホプキンス大学で1979年につくられた学習プログラム「Center for Talented Youth(CTY)」は高い知名度を持ちます。
ただ、現在は米国でも公立校ではギフテッドとラベル付けするのをやめ、advanced learner(アドバンストラーナー、卓越した学習者)という呼び方に変える動きが出ています。才能の定義や識別の基準、またそのプログラムの規模により対象者に偏りが出てしまう、社会的経済格差の影響を受ける、それにより潜在的な才能が見いだされなくなってしまう可能性があるからです。
世界的な潮流としては、才能のある子も、障害のある子も、通常学級でインクルージョンの方針で教育していこうという方向性にあります。
日本におけるギフテッド教育
これまで日本であまりなじみがなかったギフテッド教育ですが、近年、多様な才能を見直し伸ばそうと、さまざまな取り組みが行われ始めています。
東京都渋谷区では東京大学先端科学技術研究センター・人間支援工学分野に委託し、子どもたちそれぞれにあった学びの方法や環境を提案する「渋谷区ラーニング・リソースセンター」で、東京大学先端科学技術研究センターと連携した特別なプログラムを2017年9月から行っています(渋谷区の公立小学校4年生から公立中学校3年生の児童生徒対象)。
また、東京都中野区に本校、長野県長野市に系列校がある「翔和学園」では、2Eの子どもたちを対象とした「ギフテッド2Eクラス」を設置。アメリカで実績のあるギフテッド教育のメソッドを導入し、「人間の生きていく気力を育てる」を理念とする特別支援教育が行われています。
ギフテッドではなく「特異な才能のある子」、個別最適な学びの中で支援へ
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その他、ギフテッド教育の事例
自治体・学校以外で、ギフテッドとよばれる子どもたちをサポートする取り組みを行う団体を紹介します。
・NPO法人TEAM GIFTED
ギフテッドの子どもたちに対して学習支援を行うだけでなく、進学や自立などそれぞれの子どもたちに合わせた支援を行っています。
・ 孫正義育英財団
高い志とずば抜けた才能を持つ若者に自らの才能を開花できる環境を提供し、人類の未来に貢献する人材の支援を目標に、ずば抜けた才能を持つ若者の進学や留学の費用などを支援しています。
・ LEARN
東京大学先端科学技術研究センターで運営。教科書を離れて学びの楽しさに気づくプログラム、学校教育に飽き足らない子どものためのプログラムなど、子どもたちがそれぞれ個性を発揮できるよう多様な学びの場を提供しています。
・ 日本ギフティッド協会
ギフテッド教育に関わってきた日米のスタッフが運営。日本でギフテッドに関する概念を理解・浸透させることや、ギフテッドの子どもを持つ保護者の負担を減らすことなどを目的に、ギフテッドの子どもたちに関する教育計画書「GIEP」を作成しています。
・ 一般社団法人Education Beyond
ISAKジャパン代表理事の小林りん氏らが設立。前述した米国のギフテッド教育の1つであるCTYの学習プログラムを2023年夏から日本で展開するべく準備を進めています。
・ 一般社団法人ギフテッド応援隊
ギフテッドの子どもを持つ保護者のコミュニティ。2017年の設立以来、会員相互の交流や情報発信、専門家による講演会などを行っています。