ノーベル賞経済学者の「市場の失敗」克服のヒント 『グリーン経済学』『洋装の日本史』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『グリーン経済学 つながってるけど、混み合いすぎで、対立ばかりの世界を解決する環境思考』

・『洋装の日本史』

・『読むだけで心と体が元気になっちゃう 漢方養生の本』

『グリーン経済学 つながってるけど、混み合いすぎで、対立ばかりの世界を解決する環境思考』ウィリアム・ノードハウス 著
『グリーン経済学 つながってるけど、混み合いすぎで、対立ばかりの世界を解決する環境思考』ウィリアム・ノードハウス 著/江口泰子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・大阪大学教授 安田洋祐

今日、人類が抱える最も深刻な問題の1つが、気候変動に代表される環境問題だろう。遅々として進まない温暖化対策にいら立ち、暗い未来に絶望している読者もいるかもしれない。われわれはいっそのこと資本主義を捨てて、経済システムの抜本的な再構築を目指すべきなのだろうか──。こうしたラディカルな考えに性急に飛びつく前に、一度立ち止まって読んでほしいのが本書である。

ノーベル賞経済学者による「市場の失敗」克服のヒント

そもそも、なぜ環境問題は解決が難しいのだろうか。環境問題に限らず、分権的な市場メカニズムではうまく対処することができない問題を、経済学では「市場の失敗」と呼ぶ。そして、市場の失敗をもたらす代表例として教科書でもおなじみなのが、外部性と公共財である。本書によると、環境問題にはこの2つの典型的な市場の失敗がどちらも大きな影響を及ぼしている。だからこそ、一筋縄では解決できないのである。

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