東海道新幹線の車内販売「作戦会議」の舞台裏 コーヒーの売り方からアイス新メニューまで
東海道新幹線の車内販売の実際について、ジェイアール東海パッセンジャーズ営業推進部古川ひとみ課長代理と、乗務を担当する小澤依実パーサー、田口佳奈美パーサーに話を聞いてみた。
古川課長代理は次のように話す。
「乗務する3人はそれぞれ役割が異なっており、『マネージャー』『サブマネージャー』『ワゴン』の3つの役割があります。マネージャーは乗務する列車の責任者で主にグリーン車のサービスと車内巡回を担当します。サブマネージャー・ワゴン担当はそれぞれワゴンを押し、お客さまの元にお伺いするとともに、サブマネージャーはマネージャー同様車内巡回も行い、車内の安全維持にも従事します」
現在ではパーサーも車掌などの乗務員とともに、安全業務の一端を担っているのが東海道新幹線の特徴だが、「お客さまの接客と安全維持という、大きく異なる業務を同時に行うのは大変ですが、車内を注意深く見ることで具合が悪そうなお客さまをお見かけし、すぐに対応できたこともあります」と田口パーサーが話す。
時間帯や列車種別でも特色がある
実際の車内販売の利用状況を聞いてみると、やはり時間帯や列車種別でも特色が出るそうで、小澤パーサーがその細かな内容を教えてくれた。
「早朝は駅の売店がまだ営業していないこともあり、6時台の列車ではサンドイッチなどの軽食やホットコーヒーを多くお求めいただく傾向です。昼過ぎからは人気のアイスクリーム、そして夕方はアルコール飲料です。アルコール飲料については、コロナ禍で一時期販売を休止していた際、車内販売全体の売り上げに大きく変化が出たこともあり、予想以上にニーズがあることを感じました。『アルコールがないなら車内販売自体を利用しない』というお客さまもいらっしゃいました」。
現在では販売を再開しているが、楽しくなり過ぎてしまう乗客もコロナ禍前からときおりいるそうで、「ぜひ適度にお楽しみいただければ」と笑顔で付け加えた。
小澤パーサーはこうも言う。「『のぞみ』は長距離のご利用の方が多く、一度車内販売をご利用いただいた後は、あまりお声がかからないことが多い印象です。ただ、山陽新幹線直通の下り『のぞみ』は名古屋や京都からでも新たにご利用いただくことがあります。『ひかり』の場合は停車駅も多いため、お客さまの入れ替えがあり、こまめにご利用になるお客さまがいらっしゃいます。さらに上り列車の場合、山陽新幹線から直通してくる『のぞみ』では、すでに山陽新幹線区間で車内販売をご利用されているお客さまもいらっしゃるので、下り列車のほうがより多くご利用いただいているかなと感じています」。
この点については、山陽新幹線で車内販売を行っている、ジェイアール西日本フードサービスネットに別の機会に話を聞いた際、「上り列車のほうが売り上げがよい」とのことでこのあたりは持ちつ持たれつだろうか。
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