東海道新幹線の車内販売「作戦会議」の舞台裏 コーヒーの売り方からアイス新メニューまで

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新フレーバーのコンセプトには「コーヒーとのペアリング」も重視され、2つのサンプルアイスを試食しながら、実際にコーヒーと合わせてその味を選定。また、最近では先述の通り、SNSにこのアイスたちが登場することも多く、”映える”パッケージも必須要素だ。

「こっちのほうが映える」、「でもこの案のほうが、アーモンドがはっきり写っていておいしそうに見える」といったように、真剣ではありながらもわいわいと、堅苦しくない自由な雰囲気で議論しているのが、この会議の特徴の一つだ。中には「パッケージのフタ部分にパーコードがあると、霜が付いていてもスキャンが素早くできる」といった、現場ならではの発言も。一方で、「でも、最近のお客さまはフタもいっしょに写真を撮る方も多いので、フタにバーコードがあるのは気になるかも」と、乗客の様子を最前線で見ているからこその視点も光る。

この日は実際の商品選定のほか、次なる新フレーバーのアイデア出しも行われた。実際に利用者の接するパーサーたちのアイデアは貴重な意見だ。アイス内に別のトッピングを交ぜたり、キャラクターとのコラボレーションなど、東京と大阪で2チームに分かれて、引き続きフランクな雰囲気でディスカッション。実現性は一度置いておいて、新しい案を出し合う8人の様子は楽しそうだが、実際に製造を請け負う「スジャータめいらく」の担当者は、生産ラインやコストのことを検討しながらの参加ということもあり、斬新なアイデアには「うーんそれはユニークですが……」と、やや苦笑気味だ。

ワゴン販売の秘密

さて、東海道新幹線では現在、車内販売を行う列車では基本的に3人のパーサーと2台のワゴンが乗務する。ワゴンの搭載する商品は時間帯によって朝・昼・閑散・夜の4バリエーションがあり、同じ時間帯内では全ワゴンが同じ数だけ同じ商品を積んで出発する。

朝時間はサンドイッチなどの軽食類、夜はアルコール飲料など多く搭載される。車内販売は11号車が拠点となり、2台のワゴンはそれぞれ1号車、16号車方面にそれぞれ車内を巡回。混雑状況にもよるが、東京―新大阪間で1ワゴンにつき3往復ほど巡回するのが目安だ。車内をまめに回りたいところだが、営業終了駅では必ず11号車からワゴンを下車させなくてはいけないので、そのあんばいが難しい。

次ページ時間帯や列車種別で売れ筋はどう変わる?
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