給与に不満6割強、「給特法改正・廃止」に賛成?反対?教員600人の切実な叫び 抜本的に変わるか「合法サービス残業」の行方
6割強が給特法改正、3割弱が給特法廃止を支持
昨年度に実施した最新の教員勤務実態調査の結果がまとまる今春以降、給特法を含めた教員の処遇はさらに見直される予定だ。昨年12月文科省に設置された有識者らによる「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」で論点整理を進めている。
アンケートで給特法の改正・廃止への賛否について尋ねた質問に対しては約半数が賛成。うち6割強が改正を、3割弱が廃止を支持した。


改正・廃止の賛成理由では「月8時間分の手当ては実態に合っていない」「残業しないと処理できない業務量が固定化されている」「残業手当が出ない中で業務ばかりが増えている」「業務を適性に評価してほしい」といった声が上がった。一方、反対した人からは「長時間労働のほうを解消すべき」「定時でもきちんと仕事をこなす人を公正に評価すべき」という意見があった。また、超勤4項目で時間外勤務が認められる非常災害に関する業務で「8時間以上駆り出されて3200円。避難所運営はボランティア」といった問題提起もあった。
この改正・廃止の理由について、ここでは紹介しきれない声をPDFにまとめた。回答も原文のまま全文掲載しているため、現場の本音がよくわかる内容になっている。無料PDFのダウンロードはこちらから。
給特法の改正内容については、労働基準法適用を除外して時間外勤務手当を不支給としている規定の廃止が約45%。次いで残業手当に相当する給与月額4%の教職調整額の引き上げが約39%を占めた。

給特法が前提とする残業時間月8時間と、教員の勤務実態との乖離は大きい。近年は教員の時間外勤務手当をめぐる訴訟も相次いでいて、給特法の見直しは必然といえる。
しかし、残業手当問題を解決しても、ワーク・ライフ・バランスやキャリア形成に対する意識が高い若者を振り向かせることは難しいだろう。手当の見直しを契機として、職務効率化、職務範囲の見直しも不可欠だ。教員に対する公平・公正な処遇と労働環境の改善を進め、教員のキャリアをこれからの時代にふさわしい魅力あるものにしていくことが望まれている。
給特法に関する意識調査
対象:小学校、中学校、高等学校教員600名
平均年齢:51.4歳
対象エリア:全国
調査日:2022年12月
(文:新木洋光、注記のない写真:y.uemura / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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