金融庁と証券業界、仕組み債で生じた「不協和音」 日証協のガイドライン改正案に金融庁がNO

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不適切販売が多発した仕組み債。その販売指針の改定や手数料開示をめぐり、金融庁と証券業界の間の溝が日に日に深まっている。

仕組み債の販売をめぐり、ある証券会社の幹部は「(金融庁と証券業界の)隔たりが最も大きいのは手数料についてだ」と明かす(上写真:尾形文繁撮影、下写真:記者撮影)

「ごちゃごちゃ書いていたが読むに堪えない。証券業界は顧客本位を顧客保護と勘違いしている」――。

ある金融庁関係者が痛烈に批判するのは、証券会社などで構成する日本証券業協会がまとめた、仕組み債の販売に関するガイドラインの改正案だ。仕組み債をめぐって不適切な販売実態が次々と明らかになり(詳細はこちら)、日証協は業界の綱紀粛正を図るべく、販売時に説明すべき内容などを定めたガイドラインの改正を2022年5月から検討してきた。

当初は2022年内にも改正にこぎ着ける腹づもりだった。というのも、金融庁が仕組み債の販売実態を問題視するリポートを公表したことを受け、勧誘できる人数に制限がない公募型の仕組み債については、多くの証券会社が現在も販売を停止している。各社から「日証協のガイドライン改正を待って販売を再開したい」との要望が出ていた。

「最低限の基準」と切り捨てられた改正案

ところが年末が近づいても、一向に改正に向けた動きがない。日証協の森田敏夫会長は「年明けには改正案を公表したい」としてきたが、2023年1月18日の定例会見で「2月中」とさらなる延期を余儀なくされた。

ある日証協幹部がその理由を語る。「金融庁との調整に時間を要している。仕組み債に関わっている部署が多く、庁内でも温度差があるようだ」。日証協のガイドライン改正案に対し、金融庁がNOを突きつけたため、公表が遅れているというのだ。

日証協がまとめた改正案には大きく2つの柱がある。

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