昨年12月、岸田文雄政権による防衛費増額の閣議決定と日本銀行による事実上の利上げがそろって実施された。いずれも日本の財政の先行きを左右する重大な出来事だ。
財政健全化の必要性を説く有識者が従前から指摘していたのは、国債費(利払い費を含む)増大が持つ潜在的な負のパワーだ。
これまで消費増税の必要性については、「社会保障制度を維持・強化するための、財源不足(財政赤字)への対応」と説明されることが多かった。国民のウケは必ずしもよくないものの、われわれが享受する便益と負担という関係で考えれば、納得感のある話ではある。
しかし財政赤字を放置した結果、公的債務残高の増大や金利上昇によって国債の利払い費が大きく増える段階まで進んでしまうと、政府は「利払いに充てるために増税する」という状況に追い込まれる。事ここに至ると、優先されるのは社会保障の給付水準の維持ではない。増税幅を抑えるため、給付の削減も俎上に載せられるだろう。
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