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習近平独裁の完成と「敗者」たちの異様な沈黙 連れ出される胡錦濤を前になぜ無反応だったか

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中国共産党大会の閉幕式で途中退席させられる胡錦濤元国家主席
(写真:2022 Bloomberg Finance LP)

10月22日に終わった中国共産党大会ではサプライズが相次いだが、最大のものは胡錦濤・前国家主席が閉幕式会場から連れ出された一件だろう。国営新華社は「体調不良が原因」と伝えたが、直前の動画では胡錦濤氏は何かの書類について話そうとしていたようにも見える。真相はやぶの中だ。

無関心を装った指導者たち 

不気味だったのは、居並ぶ指導者の多くが胡錦濤氏の様子に無関心を装ったことだ。ちょうど来日中だった著名な現代美術家の艾未未(アイウェイウェイ)氏は「人としての友情も敬意も感じられない」「中国の指導者たちの無慈悲さを示した」と話した。欧州で活動している艾氏は、実父が習近平国家主席の父と親しかった「紅二代(革命家の子女)」だ。

改めて動画を確認すると、習主席から政治的な距離が遠い人物ほど反応が鈍い。例えば今大会で最高指導部を構成する中央政治局常務委員からの退任が決まった李克強首相と汪洋氏、中央政治局委員からの降格が決まった胡春華氏だ。彼らは周囲がざわつき始めても無表情でまっすぐ前を向いていた。胡錦濤氏の直系である李克強首相は、会場を去る胡錦濤氏から激励するかのように肩をたたかれ、やっと本人に視線を向けた。

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