「心理的安全性の格差」が組織に与える重大リスク 組織の生産性に悪影響を及ぼす可能性もある

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では、不安や恐れの大きさの違いから生まれる行動は組織にどのような影響をもたらすか。先述の①を例に紹介したい。

生産性に悪影響を及ぼす

不安や恐れが小さい人は、わからないことがあればすぐに同僚に尋ねる。これが受け止められた場合、周囲は「わからないことを聞いても大丈夫なのだ」と認識し、質問をするようになる。すると、組織の中にわからないことは聞こうという雰囲気が生まれ、知識やノウハウの共有が促進される。

一方で、不安や恐れが大きい人は、わからないことがあっても、時間を奪ったと思われるのが怖くて質問しない。すると、本人は疑問が解決されないままなので仕事のスピードが変わらず、周囲もその原因に気づかないため、組織としての生産性が改善されない。

これと同じことが、先述の②、③でも起こり得る。

不安や恐れが大きい人の行動は、本人が成長をする、経験を積んで自信がつくことで改善されるため、特に問題視しなくていいのではと感じるかもしれない。しかし、組織内で不安や恐れが大きい人と小さい人が混在している状態だけでも、問題は発生する。

不安や恐れが小さい人と大きい人が混在していた場合、不安や恐れが小さい人(心理的安全性が高い人)は、疑問があればすぐに質問するため仕事が早くなり、また、アイデアを発信するため活発な人とみなされる。そのため、社内では「仕事のできる人」として評価されることが考えられる。

一方で、不安や恐れが大きい人(心理的安全性が低い人)は、疑問があっても質問できず、わからないままのため仕事のスピードが変わらず、アイデアも出さずにいるため、周囲から「ミスの多い人」「無能な人」と評価される可能性がある。

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