ソニー・ホンダも志向、自動車の「走るスマホ化」 世界最大のテクノロジー展示会にみるトレンド
ソニー・ホンダモビリティは、スマートフォンの「脳」に当たる半導体のSoC(システム・オン・チップ)で、世界最大手のアメリカ・クアルコムと提携することも明かした。クアルコムのSoCは、iPhone以外の大半の高価格スマホに搭載されている。まさに自動車が「走るスマホ」になる象徴と言える。
クアルコムの展示ブースも、そうした「走るスマホ」化を意識した内容だった。実車を用いながら、クアルコム製品を活用した運転支援機能などが披露されていた。
まず目を引いたのは、カーナビとオーディオが一体になったインフォテインメントだ。地図や音楽、電話のアプリがスマホ画面のように並んでおり、操作もスマホ同様に直感的に行える。車内外のセンサーから得た情報を処理し、360度にわたって車線や障害物がどう配置されているかを映し出すことも可能だ。
ベンツEVは「車内での刺激的体験」をアピール
既存の完成車メーカーでは、ドイツのメルセデス・ベンツが最新のEVを展示していた。ドアに描かれた文字は「Excitement Inside(車内での刺激的体験)」。車内でドルビーアトモスと呼ばれる高音質の音楽や、映画、ミニゲームなどが楽しめることを訴求する。
「運転自体の楽しさよりも、車室内での体験や移動時間の快適さを打ち出す展示が増えた」。EV向けにリチウムイオン電池などの供給に力を入れるパナソニックの小川立夫CTO(最高技術責任者)は、3年ぶりに参加したCESでの自動車産業の変化を口にする。
自動車産業は製造業だが、ITと結びついてサービス業へと変質しつつある。消費者が求めているのは、安全な移動手段とその移動に要する時空間の快適さであって、自動車そのものではない。技術を誇るのではなく、消費者との接点でいかに満足してもらえるかが勝負所となっている。
「モーターショー(自動車に特化した展示会)は、技術に明るくないと近寄りがたい会員制クラブのようになっている。それに対し、CESはもともと家電の見本市で、ごく一般の消費者向けに新しいサービスを出しやすい」。ある完成車メーカーの関係者はそう語った。
多様な業種が集まるCESでこそ、自動車の進化の方向性が見えてくる一面がありそうだ。
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