医師の期待を集める「国産初の手術支援ロボット」 完全遠隔手術も視野に入れる「hinotori」の野望

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メディカロイドが開発した「国産初」の手術支援ロボット・hinotori(ヒノトリ)。アームは8つの関節があり、人に近いコンパクトな動きが可能だ (撮影:ヒラオカスタジオ)

「hinotori(ヒノトリ)の導入で、手術件数が増え、患者を多く受け入れられるようになった」

そう語るのは、名古屋市にある名古屋セントラル病院の黒松功医師。ヒノトリとは血液検査装置大手のシスメックスと、総合重機大手で産業用ロボットも手がける川崎重工業の合弁会社・メディカロイドが開発した「国産初」の手術支援ロボットで、同病院では2022年3月に導入した。

手術支援ロボットは低侵襲で患者への負担を減らせることに加え、座ったまま手術を行え、医師の負担も減らすことができるのが特徴だ。手術支援ロボットによる「ロボット支援下手術」はすでに臨床現場で広く普及している。胃がんの切除手術の9割超は、ロボット支援下で行われている。

手術支援ロボットは主に、鉗子(かんし)や内視鏡カメラのついたロボットアーム部分と、医師がアームを操作するコックピット部分で構成される。アームは人間の腕以上に可動域が広く、細かく正確な動きをしやすい。患者に開けた小さな穴から鉗子や内視鏡カメラを挿入し、手術を行う。手術支援ロボットを使うと、通常行われる開腹手術と比べて出血が少なく、入院期間を短縮できる。

国内市場の競争は激化

手術支援ロボットは、1999年にアメリカのインテュイティブサージカルが開発した「ダビンチ」がパイオニアで、長らく同製品が市場を独占してきた。

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