破綻したFTX「前代未聞」イカサマ経営驚愕の実態 中身はあのエンロンよりずっとひどかった
今回、裁判所に提出された資料は、FTXのビジネスの詳細を初めて明らかにするものとなった。そこに記されたずさんな経営は、FTXの破綻をめぐってこれまで語られてきた最も厳しい評価さえ凌駕する。
レイは「顧客資金の不正使用を隠す」ソフトウエアの使用をはじめ、FTXが犯した数々の問題行動と疑わしい経営実態を詳しく描写。バンクマンフリードがほぼ完全に所有していたアラメダ・リサーチとFTXの間には「独立したガバナンスが存在しなかった」とした。
さらにレイは、バンクマンフリードの下で作成された財務諸表の正確性は信用できないとも述べている。「FTXグループはデジタル資産について適切な帳簿や記録、あるいはセキュリティー管理をしていなかった」。
アラメダ・リサーチの四半期財務諸表が監査を受けたことは一度もないという。ただ、今回の提出資料からは、アラメダ・リサーチがバンクマンフリードと彼の支配企業に対して合計約33億ドル、ほかのFTX幹部2人に対して約6億ドルの融資を行っていた実態が明らかとなっている。
レイはFTXの経営を引き継いで以来、FTXの各所から約7億4000万ドル相当の暗号資産を保全したという。これは回収を目指している金額の「ごく一部」にすぎないため、サイバー犯罪対応スキルを持つフォレンジックアナリストやブロックチェーンの専門家をサポートとして雇い、残りの資金の所在を突き止める作業を進めているとした。
誰が従業員かもわからない驚愕のずさん経営
レイの話では、ずさんな経営管理は全社に染みわたっていた。
レイによると、FTXの人事部門があまりにも無秩序だったせいで、レイのチームは従業員のリストを完成させることすらできなかったという。会社の資金は従業員や顧問の自宅や私物の購入に使われ、そのための適切な書類も存在しなかった。従業員はチャットで支払いを依頼し、管理職は「パーソナライズされた絵文字」を使って支払いを承認していたと、資料には書かれている。
資料によると、FTXには意思決定の記録がきちんと残されていなかった。1つにはバンクマンフリードが、短期間でメッセージが自動削除されるよう設定された通信プラットフォームに頼り、従業員にも同じアプリを使用するよう促していたためだ。