玉川徹“様子見復帰"に強烈な不信募る3つの訳 演出の言及なくテレ朝は個人に責任を負わせたまま

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これら意外にも似たようなコメントが多く見られますが、それぞれが問題視しているのは、事の発端となった9月28日放送での発言。

今回、謝罪したのは主に最後の「当然これ電通が入ってますからね」という部分に留まり、そこに至る「僕は演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから。それはそういうふうに作りますよ、当然ながら。政治的意図がにおわないように、それは制作者としては考えますよ」というコメントに対する説明がないことを指摘しているのです。

人々の頭には、「政治的な意図を踏まえた演出を行ってきたのか」という疑惑が残ったままであり、「臭いものにふたをして逃げるのか」と納得できないのでしょう。

個人に責任を負わせたテレビ朝日

そして、もう1つ人々の怒りを買っているのは、番組を放送するテレビ朝日の対応。

ネット上に「個人ではなく、会社の対応がどうなのかを知りたいだけ」という声が見られるように、玉川さんが個人の反省や再発防止策を述べているだけで、制作サイドや放送局からのそれらは発表されませんでした。失言は玉川さんの個人的な失敗に見えますが、解説委員でも報道記者でもないディレクターをコメンテーターとして起用したのは制作サイドであり、ひいてはテレビ朝日の責任は重大です。

しかし、“政治的な意図を踏まえた演出”というセンシティブな内容だからなのか。テレビ朝日は「あくまで“個人的な失敗”でやりすごそう」という姿勢が見られ、それに人々が気づいているのでしょう。実際、「“個人的な失敗”でやりすごそう」というニュアンスは、玉川さんの「謝罪コメントを番組のスタジオではなく、報道フロアに1人で立たせて行わせる」という演出が象徴していました。

そのようにテレビ朝日としての対応が不十分だったため、現在もネット上には「これまでも、これからも、政治的な意図を踏まえた演出をしていくだろう」とみなすようなコメントが散見されます。責任を個人に負わせ、人々の心に疑念を残す幕引きは、放送局や報道番組にとって好ましいものとは言えないでしょう。

また、玉川さんの復帰についても、あえてあいまいな部分を残すようなところが見られました。実際、「また毎日出るのだろう」「さすがにそれはないかな」などと、「玉川さんがどのような形で復帰したのか」をつかめていない人々が多いのです。これは制作サイドがあえて、どちらにも解釈できる形にしているのでしょう。

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