リピーター100名超、「秋田県の教育留学」はなぜそんなに人気なのか? 各家庭のニーズに対応する複数の留学メニュー
16年度~21年度(20年度はコロナ禍により実績ゼロ)の利用者は、長期留学が延べ45名、短期チャレンジ留学(家族留学含む)は延べ321名と計366名。このうちリピーターは102名に上り、そのほとんどは子どもの意思によるものだという。また、教育留学への参加を機に、秋田県に移住した家庭もあるそうだ。利用者の実際の反応について、佐々木氏は次のように話す。
「探究型授業が面白かったと話す子が多く、自分で答えを探すために動かなければいけない状況を魅力に感じているようです。また、とくに都心から来た子は、夏は暇さえあればトンボやバッタを捕まえていて、冬は雪でひたすら遊んでいます。やはり自然の魅力は大きいのだなと感じています。保護者の方からも『最初は親がいなくて大丈夫かと不安だったが、たくましくなって帰って来た』などの声を多くいただいています」

例年、年間50~70件ほど教育留学の相談があるが、今年6月にTwitterで話題になった際は3日間で130件もの問い合わせが殺到。中には、「来年の夏の予約をしたい」という相談もあった。
来年分の予約は受け付けていないが、今年の冬休みには短期チャレンジ留学を実施する。北秋田市は12月下旬に、スキーやきりたんぽ作り、温泉などを体験できる3泊4日のプログラムを予定している。
「早く再開してほしい」と問い合わせの多い「秋田県の学校への通学」も、新型コロナの感染状況と市町村の状態を踏まえ、順次実現を目指したいという。まずは新たに長期留学をスタートする五城目町が、地元の学校への通学を前提とした形で11月下旬から受け入れを始める。
「実績といえるほど移住者はまだ増えていない」(佐々木氏)というが、さまざまなニーズに応えてくれる同県の教育留学は、子育て家庭にとって魅力的な選択肢になっているはずだ。実際リピーターは多く、県にとっても長期的には関係人口創出の一助になっているといえるだろう。コロナ禍の状況は先が見通せないが、いっそうの地域活性と子どもの学びの選択肢の拡充のためにも、行動制限のない形での事業展開が再開されることを願う。
(文:佐藤ちひろ、写真:秋田県教育庁生涯学習課提供)
東洋経済education × ICT編集部
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