リピーター100名超、「秋田県の教育留学」はなぜそんなに人気なのか? 各家庭のニーズに対応する複数の留学メニュー

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2016年度からスタートした秋田県の「教育留学」をご存じだろうか。長期留学と短期留学のほか、家族と一緒に参加できる留学枠も用意し、豊かな自然を生かした体験活動や県独自の探究型授業を盛り込んだプログラムを提供している。今年6月にSNSで話題になった際は「一日中、問い合わせの電話が鳴りっぱなしだった」そうだが、実は以前からリピーターが多い事業だという。そんな同県の人気事業について取材した。

「秋田型教育留学推進事業」、背景に「少子高齢化」

2020年の国勢調査によると、秋田県の高齢化率(人口に占める65歳以上人口の割合)は37.5%と全国最高、また15歳未満人口の割合は9.7%と初めて10%を切り、人口減少率も6.2%減と5回連続で全国最高となった。同県では以前からこの少子高齢化が最重要課題となっている。

一方で、「本県には豊かな自然環境や観光地、郷土の芸能や料理など、全国に誇れる魅力が数多くあります」と、同県教育庁生涯学習課社会教育・読書推進班 主任社会教育主事の佐々木泰生氏は話し、こう続ける。

「『全国学力・学習状況調査』でもつねにトップレベルの成績を残しており、それを支える『探究型授業』などの教育資源も魅力の1つ。そんな強みを生かした教育留学を県外の小中学生に提供することで、関係人口の増加と移住・定住の促進につなげられないかと考えました」

こうして16年度からスタートしたのが、「秋田型教育留学推進事業」だという。「長期留学(オーダーメイド留学)」「短期チャレンジ留学」「家族留学」の枠組みがあり、これまでに7つの市町村で実施した実績がある。

「秋田の教育を」「環境を変えたい」など個々のニーズに対応

長期留学は、利用者の要望に合わせてくれるのが大きな特徴だ。宿泊先は北秋田市の「合川学童研修センター」となるが、滞在期間は利用者が決めることができ、これまで短くて1週間、長くて100日以上の滞在実績がある。在籍校が属する教育委員会の合意が取れれば、出席扱いになる。

基本的には、平日は合川学童研修センター近くの同市立合川小学校や合川中学校に通って本場の“秋田の教育”を受け、土日は同市教育委員会が企画するプログラムを通じて、登山やサイクリング、川下りなど、自然と触れ合う体験ができる。「都心ではできない体験をさせたい」「秋田の教育を受けさせたい」という家庭に人気で、リピーターも多いという。

実際に秋田県の地元の学校に通うことができる(写真は、2019年度の長期留学生も含む授業風景)

また、子どもが不登校もしくは不登校傾向にあり、「環境を変えて生活させてみたい」という家庭の要望にも対応している。こうした生活改善型の場合は、合川学童研修センター内にある「あきたリフレッシュ学園」で、各自の進度に合わせた教科学習や、自然を生かした体験活動を行う。

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