完璧のない仕事だが「校正」は本作りの大切な工程 『文にあたる』著者、校正者の牟田都子氏に聞く

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『文にあたる』を執筆した牟田都子氏
牟田都子(むた・さとこ)/校正者。1977年、東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務、2018年に独立。関わった本に『ブスの自信の持ち方』(山崎ナオコーラ、誠文堂新光社)、『はじめての利他学』(若松英輔、NHK出版)ほか多数。共著に『本を贈る』など。(撮影:疋田千里/ Hikita Chisato)
テレビドラマ化された『校閲ガール』や、SNSでしばしば話題になる新聞・出版各社の“神校閲”などの影響で、「校正・校閲」の仕事が注目を集めている。出版社に勤務したのち独立し、今は年間20〜30冊の書籍の校正に携わる人気校正者が、日々の仕事や文章との向き合い方を「著者」としてつづった。
『文にあたる』(牟田都子 著/亜紀書房/1760円/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──出版や報道を支える仕事として、校正・校閲が広く知られるようになりました。

よく言われるのは、『校閲ガール』の影響です。同業者も、「昔はどういう仕事か全然わかってもらえなかったけど、今は校閲と言うだけでドラマのあれね、と伝わるようになった」と。

本書はそれより前か当時の非常に早い時期に、長く付き合いのある編集者から執筆依頼があって書いたのですが、『校閲ガール』以降、ほか数社の出版社からも本を書かないかと言われました。「校閲ブーム」のような状況があったのかもしれません。

校正は「完璧」のない仕事

──本書には、校正の仕事の魅力と大変さが詰まっています。

出版社に勤めた10年間も、フリーランス校正者になってからも、日々ゲラ(校正用の試し刷り)と向き合う中で悩んだり、新たな発見をしたりしています。私は1冊の本の校正に2週間ほどかけますが、2週間は長いようで短い。

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