ホンダ「ジェイド」、乗ってわかった真の実力 新型ミニバンがストリームを名乗らないワケ
車重の大きさがややアダに
半面、やや気になったのがパワートレインだ。当初はとやかく指摘されたスポーツハイブリッドi-DCDも、つきつめるとかなり良くなることはグレイスに乗ってわかったばかり。むろんジェイドも、当初のフィットハイブリッドのようなことはなく、おおむねよくできているが、グレイスのほうがだいぶスムーズだったように感じられた。
これは、どうやらグレイスよりも200キロほど大きいジェイドの車両重量に原因がありそうだ。やはりトルクコンバーターがないと、そのあたりはどうしても苦手になるようだ。
ジェイドで特筆すべきは車高の低さ。カタログの表記上は全高1530ミリとなるが、実際にアンテナを除くと1500ミリしかない。むろん機械式駐車場にも入るし、空力や走行性能の面でも低いほうが有利だ。「シビック」を延ばしてワゴンにしたようなそのフォルムからすると、3列シートがあるようには見えない。
車内の居住性を見てみよう。「1列目はセダン、2列目はリムジン、3列目はフレキシブルと、それぞれテーマを持っている」と開発責任者は言う。
2列目は前後に170ミリもスライド可能
とりわけ特徴的なのが、最も重視しただろうとうかがえる2列目だ。低床で着座位置が低いことに加えて、2列目はVの字型に170ミリも前後スライドが可能。最後端にするとニースペースはかなり広くなる。これを実現するために、シートベルトを3列目のところから引っ張ってくるなど工夫していることも見て取れる。
ただし、ドア側のアームレストとの位置関係をちょうどよくするには、少しシートを前に出さなければならず、するとニースペースの圧倒的な広さが味わえなくなるというジレンマもある。
3列目は、さすがに非常用という印象で、広くはないがそれなりに座れた3~4代目オデッセイほどの居住性は確保されておらず、通常は畳んでおいてワゴンのように使うのが本来の姿といえる。
本当にいざとなったときだけ人を乗せるという使い方でないと、座る人がかわいそうだ。その点では、オデッセイの受け皿としては物足りない気もするどころか、3列目の居住性限ってはストリームにすら劣るのは否めないが、ホンダが乗用ミニバンはそれでよいと判断し、2列目に新しい付加価値を与えたのだと見れば、それはそれで納得できる。
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