キャデラック「初のEV」LYRIQに見た納得の出来 デザイン・走り・技術に「伝統と革新」が巧みに融合

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ドアを開けてまず目に飛び込んでくるのは対角33インチの大型ディスプレイ。長いホイールベースを生かして前後席ともにスペースがたっぷり取られていて、まさにラウンジのようなくつろぎ感だ。

興味深いことに、このエクステリアを手掛けたのはBobin Kil氏という社内の30代の韓国人デザイナーである。うかがうと、先日お披露目されたウルトララグジュアリーBEVのコンセプトであるCELESTIQ(セレスティック)は、日本人の杉之下貴彦さんが手掛けているなど、他にもデザインチームにはアメリカ人、フランス人、韓国人等々、国籍も年齢も性別もバラバラの個性が集まって、新しいアイデアを具現化しているのだという。

キャデラック初のBEV「LYRIQ(リリック)」
「LYRIQ(リリック)」の内装(写真:ゼネラルモーターズ)

「人種のるつぼ」アメリカを象徴

まさに多様な個性が集まり、それぞれが認め合う中から生まれたエネルギーが、このアグレッシヴなデザインに昇華したわけだが、改めて感心させられるのは、それがキャデラックという長い歴史を持つアメリカを代表するブランドの話だということだ。いや、アメリカとはもともとそういう国だと言われればまったくその通りで、ハッとさせられたという話である。

もちろんデザイン部門というのは、そうした部分でもっとも進んだ部署に違いない。異なるバックグラウンドを持つチームで、皆が各々のキャデラック観を持ち寄り、すり合わせていくうちに、より深く、世界に通用するキャデラックらしさが醸成される。きっと、そんなデザインだからこそリリック、あるいはセレスティックは際立った存在感を発揮し得たのではないだろうか。

さて、そのリリック。試乗したのは最初に登場した後輪駆動モデルで、電気モーターの最高出力は340hp(馬力)、最大トルク440Nm。パウチ型セルを使うアルティウムバッテリーは容量102kWhで、航続距離は502kmとされる。尚、すでに前後2モーターのAWDモデルも発表済みである。

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