有力機関による調査・研究リポートからビジネスに役立つ逸品をえりすぐり、そのエッセンスを紹介。
「半導体不足」はいつ解消するか
自動車向けは来年回復の見込み
・大和総研「半導体不足の解消は進んでいるのか?」(2022年8月23日)
・大和総研 経済調査部 エコノミスト 岸川和馬
2021年以降、車載用半導体不足による自動車の減産が日本経済を下押ししてきた。だが、22年に入ってパソコンやスマートフォン向けの半導体DRAMの価格が急落。半導体の在庫率指数も21年半ばから上昇基調に転じており、半導体全体の需給は緩和傾向にある。
背景には、海外での半導体の引き合いが弱まっていることや、国内で情報通信機器や電気機械など機械産業向け半導体の需要が21年3月を境に供給を下回っていることがある。22年以降、需給の乖離幅はさらに拡大し、供給過多となっている。
現状の供給過多の要因の1つには、過剰発注がサプライチェーンの川上に向かって増幅する「ブルウィップ効果」がある。パソコンやスマートフォン向け半導体における過剰発注のキャンセルが進めば、不足が続く自動車向け半導体に生産能力が向けられやすくなるとみられる。
半導体不足による自動車向け供給制約は22年秋から緩和、23年中に解消すると見込まれる。減産影響で先送りされた新車需要は推計約69万台、1.7兆円(22年7月末時点)。今後生産は急回復する可能性がある。自動車産業の復調が国内景気を下支えすると筆者はみている。
消費刺激策としての全国交通支援
社会課題の解決ツールとしても活用可能
・野村総合研究所「経済回復をはばむ『交通退潮』問題と、交通視点からの新たな消費刺激策の可能性」(2022年8月)
・野村総合研究所 社会システムコンサルティング部 シニアコンサルタント 片桐悠貴
コロナ禍で落ち込んだ日本の消費は、いまだ以前の水準に戻っていない。とくに全体の約2割を占める外出・移動を伴う消費(旅行、外食、レジャーなど)は回復が遅れている。これらの産業に多く従事する非正規雇用者・女性・若者は経済的打撃を受けており、国や地方公共団体による経済対策・消費刺激策が求められている。
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