結婚10年、妻の暴力で「左肩脱臼」した男の告白 ビビビ婚の時からあった「夫婦の不仲」の予兆

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しかし、我ら人類は科学技術の発展ほど、「結婚技術」を向上させられていません。日本国内のデータでは、2020年に結婚した52万5507組に対し、離婚は19万3253組(人口動態統計)。同じ年に生じた離婚数を婚姻数で割ったものを「特殊離婚率」と言います。20年だと36・8%。時にメディアで言われるように、夫婦となっても「3組に1組は離婚する」現実があります。

離婚しない残り3分の2についても、当然、みんなが離婚と縁遠いわけではありません。

現・明治安田総合研究所の「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」(2018年)では、40〜64歳の既婚者に「離婚を考えたことがあるか」と聞いています。男女や夫婦の就労状況、子どもの有無で回答はばらつきます。それでもあえて、まとめると、「(離婚を)考えたことはない」に対し、「(離婚を)以前考えたことがあるが今は考えていない」「ときどき考えることがある」「今考えている」は、3分の1から3分の2を占めます。

要は「自分の結婚にはずっとなんの問題もない」と胸を張って言えるのは、多く見積もっても世の夫婦全体の4割強(算出式=夫婦全体のうち離婚しないのは3分の2×そのうち「離婚を考えたことのない」層はさらに3分の2)。少なければ2割ぐらい(×後ろが3分の1)しかいないかもしれません。

「昭和型」価値観からのアップデートが必要

現在、40代半ばの僕らは、専業主婦世帯が大半の家庭環境で育ちました。しかし、今では僕自身も含めて共働き家庭が一般的です。こうした女性の社会進出に加え、「家」の存在が薄れ「個」が尊重される中、結婚の意味合いも変化しています。

『妻が怖くて仕方ない: DV、借金、教育方針、現代夫婦の沼に迫る』(ポプラ社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

他方、僕ら世代の夫たちには「昭和型」の価値観が色濃く残ります。妻や家族を引っ張りたいという「夫バイアス」から完全に自由ではありません。こうした変化と縛りが、結婚を難しくしています。

自らの体験を省みつつ、データを読み解きながら現場を歩き、お金のこと、教育について、DV防止についてなど、それぞれエキスパートの方に話を聞きます。そして、2020年代半ばの今にふさわしい、「令和型」の結婚像、夫婦像を改めて考えていくつもりです。

僕個人としては、同性婚、事実婚も含め、多様な結婚様式がもっと法的に認められるべきと考えています。

多くの夫婦と同じように恋愛結婚し、永遠の愛を誓い合った富岡悠希さん夫妻。しかし、仕事や育児で多忙に過ごすなか、小さな価値観の違いが積み重なり、亀裂が生まれてしまいます。
一体、何が問題だったのか。手を出した妻にだけ責任があったのかーー
そんな問いかけを胸にさまざまな識者に話を聞きに行くなかで、富岡さんは昭和的価値観が抜けきらない自分自身を見つめ直し、コミュニケーションを怠ってきた自分を反省しながら、妻への愛を再確認していきます。
《3本立てにおける次回、第2回の記事はこちら/12日11時になると記事が公開されます》
富岡 悠希 ジャーナリスト

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とみおか・ゆうき / Yuuki Tomioka

ジャーナリスト、ライター。1970年代、関東生まれのポスト団塊ジュニア。大学卒業後、就職氷河期時代に某報道機関に入社。記者として社会、経済、国際分野などを約20年多方面に取材する。その後、ネットメディアに執筆の主舞台を移し、雑誌のライター業も。夫婦や家族のほか、貧困、ネットの誹謗中傷問題などにも関心を寄せている。「一筆入魂」をモットーとして、目線の低い取材を心がけている。

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