岸田政権が打ち出した感染者全数把握の取りやめ。専門家や地方との意思疎通の欠如が混乱の種に。
新型コロナウイルスの第7波の感染拡大が一向に収まらない。医療逼迫が続く中、政府が打ち出したのが、感染者の全数把握の取りやめであった。8月25日にその方向が打ち出されたが、各都道府県に任せるとしたことに対し、小池百合子東京都知事をはじめ複数の知事から異論が出された。批判に抗しきれず、国がもう一度全国一律の基準を示す方向に動いている。
一連のプロセスの最大の問題は、政権が早い段階から第7波に備えて問題の所在について丁寧に検討していないことである。しかも、これからのコロナ対策には、現在の日本の政治・行政システムにおいては迅速に解決しえない性質の問題がいくつも伏在している。
意思疎通の欠如
まず8月2日の専門家有志の記者会見である。第7波の感染拡大を前に、専門家有志は目下早急に検討すべきことと、中長期的に取り組むべきこととの2つの感染症対策のステージがあると強調した。そのうえで、医療機関対応、保健所・行政対応、感染状況のサーベイランスと解析、高齢福祉施設対応、旅行者対応について採るべき施策を提言した。
これに先立って米国訪問へ出発する前日の7月31日、岸田文雄首相は新型コロナの感染症法上の2類から5類相当への移行を検討し、併せて全数把握の是非についても再検討すると述べていた。
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