首相の裸の姿にとどまらない。日本の政治・社会の内実も、危機によって明白になる。
危機の政治がにわかに岸田文雄首相の前途を左右しそうな展開となった。もともと就任時から新型コロナウイルス感染症という戦後最大級の疫病大流行の危機を背負ってスタートしたが、政権担当4カ月半の2月24日にロシアのウクライナ侵略というもう1つの世界的危機に遭遇した。
非常事態による国家的危機と政権の対応では、疫病大流行のほかに、東日本大震災のような自然大災害、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故、あるいはバブル崩壊後の金融危機やリーマンショックなどの経済危機、地下鉄サリン事件といった無差別テロが、過去に大きな問題となった。だが、国家的危機の事例のうち、戦後の日本が未体験のケースが1つだけある。国土周辺での軍事衝突という安全保障の危機だ。
現在進行中のロシアのウクライナ侵攻は、もしかすると将来、勃発するかもしれない日本近海での軍事衝突という戦後初の場面を予見する出来事とみている人も多いだろう。岸田首相の危機対応に、国民は目を凝らしている。
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