「コロナ特会」構想を財務省は諦めていない。だが非常時の新税導入には国民の納得が必須。
岸田文雄首相が、国会でこういう答弁を繰り返している。テーマは財政健全化だ。
「順番を間違えてはならないということを再三申し上げております。今は緊急事態であり、国民の命、暮らしが懸かっている。こういった非常時でありますので、やるべきことはすべてやらなければならない。(中略)そして、このコロナ禍を乗り越えた後、経済をまず回復させなければいけない、その次が財政だと、この順番を申し上げております」(2021年12月16日参議院予算委員会)
新型コロナウイルスの蔓延以降盛り上がっていた大盤振る舞いの政策論議は、昨秋の自民党総裁選挙や総選挙で加速された。「財政収支黒字化の凍結」「子ども1人に10万円給付」「消費税率引き下げ」──。事態を憂慮した財務事務次官が月刊誌で「バラマキ」と批判したが、答えは用意されていた。
「今は非常時。緊急事態だ」
コロナ対策なのだから、つべこべ言わないで積極的に財政出動しろ、というわけだ。
松元崇氏の著作、『恐慌に立ち向かった男 高橋是清』によると、財政の文脈で「非常時」という言葉が使われるようになったのは、1933年度予算が前年度比5割増となったことを嚆矢(こうし)とするのだそうだ。このときは予算の3分の1が軍関係の支出だった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら