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自民で露呈した「核共有」めぐる対立 安倍晋三元首相が論議の引き金を引いた

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ウクライナ侵攻を受け安倍元首相が火をつけた「核共有」論議。岸田首相との路線対立もあらわに。

「核共有」議論の引き金を引いた安倍晋三元首相(日刊現代/アフロ)

ロシアのウクライナ軍事侵攻によって国際秩序の根幹が揺らぐ今、自由民主党内で主要政策についての路線対立があらわになっている。

それは「核共有(ニュークリアシェアリング)」論をめぐるものだ。

発端は、ウクライナ東部2州での「特別軍事作戦」の実施を宣言した2月24日のウラジーミル・プーチン大統領による緊急演説にあった。そこで、「現代のロシアは世界で最大の核保有国である。この点で、わが国への直接攻撃は、どんな潜在的な侵略者に対しても、壊滅と悲惨な結果をもたらすであろうことに、疑いの余地はない」と警告した。ウクライナ制圧に難渋する同28日、ロシア国防省はロシア軍の核戦力部隊が大統領命令で「戦闘態勢」に入ったと発表し、「戦術核使用」の可能性を事実上、示唆したのである。

このような状況下で、「核共有」の是非が国会で取り上げられた。論議の引き金を引いたのは安倍晋三元首相である。安倍氏は27日午前のフジテレビの報道番組で、「日本は核拡散防止条約(NPT)の加盟国で非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)があるが、世界ではどのように安全が守られているかという現実について議論していくことをタブー視してはならない」と発言した。

一方、岸田文雄首相は28日の参議院予算委員会で立憲民主党の田島麻衣子氏の質問に「自国の防衛のために、米国の抑止力を共有するといった枠組みを想定しているものであるならば、非核三原則を堅持するというわが国の立場から考えて認められない」と答弁した。

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