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ウクライナ戦争と日本政治への教訓 今後の対立構図に大きな影響

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日本が政治的・軍事的に大きな役割を担う国になるには、越えるべき多数のハードルがある。

防衛費の大幅増額を決めたドイツのショルツ首相(ロイター/アフロ)

ロシアによるウクライナ侵略は日本の政治にも衝撃を与えている。この戦争からいかなる教訓を読み取るかは、今後の日本政治の対立構図に大きな影響を与えることになるだろう。

国際政治学者の間で、この戦争は第2次世界大戦後の合意を壊し、世界をヒトラーのドイツが台頭した1930年代に引き戻したという見解がある。他国を軍事力で侵略するという秩序破壊を平然と行う独裁者が出現したという点で、ヒトラーとプーチン大統領が重なり合う。ミュンヘン会談の宥和主義がより大きな侵略を誘発した歴史の教訓があり、侵略には断固たる姿勢で臨まなければならない。

しかし、核兵器を持つロシアとの全面戦争にエスカレートさせることは避けなければならないので、対抗策も限られる。ロシアに対する経済制裁の強化とウクライナへのさまざまな支援によって、戦争を膠着状態に持ち込み、ロシア国内に厭戦気分を醸成することを通して、プーチン大統領に政治的解決に向かう気を起こさせるというのがありうる対策だろう。

日本にとっての問題提起となるのは、ドイツの政策転換である。ドイツは防衛費を大幅に増額し、ウクライナへの軍事援助も行うことを決めた。他国に対する脅威にならないことが欧州への貢献であった従来の姿勢を転換し、力の行使について責任を負う意欲を示している。この転換は、ポーランドなどかつてドイツに征服された国も支持している。

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