米中戦わば―台湾侵攻撃退できるが甚大な被害 中国のミサイル戦力には圧倒的威力と十分な在庫
中国軍による台湾周辺での大規模軍事演習が実施されるさなか、ワシントンの軍事専門家グループは先週、当面は完全に仮想の議論ではあるが、台湾を巡る最終的な米中戦争のシミュレーションに専念していた。
ホワイトハウスから遠くないオフィスビルの5階が作業場となった非公式な未来予測は、2026年の中国の台湾侵攻に対応する米国の軍事行動を想定し、米側の視点を参加者が持ち込んだとはいえ、米国と台湾が勝利するとすれば、莫大(ばくだい)な犠牲の下で可能という結果を得た。
シミュレーションの結果は12月に公表予定
米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、マーク・キャンシアン氏は「全てではないが大半のシナリオで、台湾が侵攻を撃退できるとの結果が示された。しかし台湾のインフラストラクチャーと経済、太平洋の米軍の損害は非常に大きいだろう」と説明した。
CSISのアナリストと共に退役軍人・海軍士官、国防総省の元当局者らがテーブル面にチェスのプレーヤーのように身をかがめながら行うセッションが9月まで続けられる。西太平洋と台湾の地図上で、小さな木製の定規、青と赤のボックスで表現される軍隊を彼らが動かしていく。シミュレーションの結果は12月に公表される予定だ。
多くのシナリオでは中国が武力統一のために台湾に侵攻し、米国が大規模な軍事介入を決定するといった必ずしもそうなると限らない前提や、日本は国土が攻撃されない限り直接介入しないものの、国内米軍基地の使用権拡大を認めるといった全く確実でない想定も用いられている。
一連のシナリオに核兵器の使用は含まれておらず、使える武器は26年までに配備する具体的な計画があるか、これまでに証明された能力に基づいており、ペロシ米下院議長の訪台に反発して中国が実施した軍事演習でのミサイル試射は、シミュレーションで既に想定された中国の能力を裏付けたという。
キャンシアン氏によると、これまで机上で行った22回の「ウォーゲーム」のうち18回では、中国のミサイルが米軍などの水上艦の大部分を海に沈め、「数百機の地上の航空機」を破壊するものの、米・台湾の海空軍が無防備な中国の水陸両用艦と水上艦に反撃を加え、最終的に約150隻を沈める。