同志社中学「1997年から教育ICT化」デジタル化が進んだ学校では、何が変わったのか? 生徒のセルフラーニング促進、教師の負担減も

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同志社中学校ではこのように、英語をはじめ、ほかの教科でもICT化が進んでいる。全科目に対しては、授業支援システムの「ロイロノート・スクール」のほか「Microsoft 365」や「Google Workspace」も導入。教員や生徒への連絡はほとんど「Teams」を活用して行われている。今は教員と生徒の課題のやり取りはほとんどがオンラインで行われており、授業では教員がレクチャーすることからコーディネートする方向へ比重が高まっているという。

「私の担当する1年生の英語の授業では、紙の教科書は使っていますが、課題の配信・提出はオンラインが中心であるため、紙のノートは使わず、提出はデジタルテキストで、PDFに書き込んでもらうようにしています。授業のデジタル化の度合いでいえば、私の授業では100%に近く、本校のどの教科でも少なくとも50%以上はあると思います。先生方によって、いろいろな考え方があるでしょうが、私は黒板を使うようにタブレットを使いたい、ICTを活用している授業でありながらICTらしくない、つまりICTの活用が授業に自然に溶け込んでいるという感じにしていきたいと思っています」

ICT化で進んだ、生徒の「セルフラーニング」

こうした教育のICT化で大きく変わったことは、授業においてセルフラーニング、あるいはアダプティブラーニングともいわれるように、生徒が学びたいことを自分のペースで学習できる時間が持てるようになったことだ。また、これまで紙だけだったアウトプットが、音声や動画でもアウトプットできるようになったことも大きな変化だという。

「先生の考え方や個々の授業スタイルの違いにもよりますが、文章を書かせるときに、最初の出だしがなかなか思い浮かばず、書きあぐねる生徒が多かったのですが、タイピングをするようになって、以前よりも文章量が増えるようになりました。自分で考えながら文字を打って簡単に修正もできるようになったことで、気軽に書き始めることができるからでしょう。また、英語のリスニング・スピーキングについてもAIアプリを活用し、評価にゲーム的な要素も加わったことで、生徒たちがより前向きに学習するようになっています」

そして、反田先生は保護者とのやり取りでもICT化を進めている。教育SNS「Edmodo」のほか、今年からはクラスやチームなどのグループで活用できる「Google グループ」を使ってクラスの保護者向け情報を発信。ファイルのシェアでは「Googleドライブ」、懇談会などのスケジュール調整では「Google フォーム」を利用している。

「紙でやり取りするときよりも格段に便利になっており、同じことをするにも時間がかからなくなりました。効率よく事務作業ができるようになっています。今は各ITツールの使い方についてもネットや本で詳細に説明されているので、慣れていない方でもそれほど難しく考える必要はないと思います」

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