ニセコ町長が激白「私が鉄道廃止に同意した理由」 倶知安とリゾート地区を結ぶ「新交通」を検討
――新交通システムなどの整備費はかなり高額ですが、なぜ、並行在来線の再活用という発想にならなかったのですか。
できることなら鉄道を残したかったし、鉄道の廃止によって地域が衰退するという危機感は持っている。これまで、他の沿線自治体の首長と共に上下分離方式による並行在来線の維持を求めて国土交通省鉄道局長にお願いに行くなどの取り組みは行ってきたが、「北海道庁と沿線自治体の地元のみなさんで考えてください」という対応を取られ、なすすべもなかった。
――函館本線の長万部―小樽間は2000年の有珠山の噴火時に貨物列車の迂回ルートとして活用された実績もありました。有珠山は、洞爺湖町と伊達市、室蘭本線で言えば洞爺―伊達紋別間にまたがるエリアに位置しています。
もちろん貨物列車の迂回ルートとして在来線を残すことができないかということは考えた。しかし、貨物列車のディーゼル機関車が当時より大型化していることや鉄道施設の老朽化の問題から、貨物列車の走行のためには地元負担による鉄道の大規模な改修工事が必要になるという話になった。その結果、並行在来線対策協議会で北海道庁より示された地元負担額がニセコ町の財政規模を遥かに上回る金額だったことから、鉄道の存続を断念せざるを得なくなった。
――北海道庁から示された地元負担額とはどの程度の金額だったのでしょうか。
長万部―小樽間140.2kmの鉄道維持のために示された必要金額は、初期投資額152.8億円に加えて、毎年、経常的に発生する赤字額が25億円。さらに、今後20年間で必要とされる大規模修繕費等64億円と車両更新費用62億円だった。しかし、この金額が高すぎるのではないかという声が出ていることも認識している。
ニセコ町の予算は年50億円
――ニセコ町の財政規模はどの程度なのでしょうか。
ニセコ町の財政規模の目安となる一般会計予算額は、例年50億円程度で推移している。しかし、これは教育など将来の子供たちのためや、町の機能を最低限維持するのに必要なお金である。また、財政が潤沢という訳では決してないので、日々の経費の節約についても徹底して実施をしている。
――小樽市の約550億円を除き他の沿線自治体についても似たような財政規模の自治体が多いですが、鉄道を維持しようとした場合、必要となる地元負担額はこの一般会計予算額の中から捻出をしろということになるのでしょうか。
そういうことになる。
――ニセコ町で仮に鉄道のために使える予算があるとすれば、土木関連の予算額の6億円ということになると思いますが、鉄道を維持する場合の各市町村の負担割合についての議論はあったのでしょうか。
そこまで踏み込んだ議論はなく、鉄道を維持しようとした場合には全体でこのくらいの費用が地元負担額として必要になるという話だけだった。
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