教員は「聖職者」か、それとも「普通の勤め人」か。現場と向き合ってきた論客に聞いた。
「一人の労働者、家庭人だと認めてあげるべきだ」
名古屋大学大学院 教授 内田 良
長時間労働が常態化している公立学校教員の勤務実態について2021年11月にウェブでアンケートを実施し、今年5月に公表した。「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしている教員が小学校では59.8%、中学校では74.4%もいた。
注目したいのは、この2年間に管理職から勤務時間を少なく書き換えるように求められた経験のある教員の割合が16〜17%に及ぶことだ。
教員の残業代は「教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)で一律4%と固定化されている。残業時間が多かろうが少なかろうがお金(残業代)とはリンクしない。だから長時間労働はごまかし、教育委員会との間に波風を立てぬようにしよう。そんな心理が管理職に働いていたのではないか。
今回、書き換えを要求された経験の有無をアンケートで問うたのは、2019年に給特法が一部改正され、2020年4月から教員の時間管理が始まったからだ。
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