テレビ震撼!「ネットフリックス上陸」の衝撃 映像ビジネスの枠組みが変わるきっかけに

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Netflix Japanのトップにはグレゴリー・K.ピーターズ氏が就任。同氏は「ネットフリックスが持つ5700万人以上の会員に、日本の人気映画やテレビ番組を配信することも可能になる」として、海外コンテンツを持ち込んで日本で配信するだけでなく、海外で日本のコンテンツを発信するビジネスについても言及している。

日本の映像コンテンツは、欧米市場への販売で苦戦している。日本製コンテンツの代表ともいえるアニメ作品は、子ども向け番組で根強い人気があるが、そのマーケットは狭い。近年急増している大人向けの深夜アニメなどは、海外に該当する放送枠がないため、アニメ専門のネット配信サービスに登録する一部のファン向けに閉じてしまう傾向が強い。

もちろん大人向けアニメにはさまざまな作品があるものの、文化的にニュートラルな作品であれば、ネットフリックスが日本の映像ビジネスのマーケットを拡げるトリガーとなるだろう。

「テレビを愉しむ時間」の奪い合いに

また、ネットフリックスは4K配信など新しい技術の導入に積極的だ。放送局は業界標準の規格が決まってからしか投資できないが、ネットフリックスは独自手順やフォーマットを採用しており、新技術への対応を行いやすい。今年のCESでトレンドになっていた映像技術「ハイダイナミックレンジ」に対応したコンテンツも年内に配信を開始。ソニーが新型ブラビアで対応するとアナウンスしている。

高速で高品質の通信回線が多くの家庭に届いていながら、プレミアムな映像配信サービスという点では遅れていたのが、これまでの日本だ。ネットフリックスのビジネスモデルは、いわゆる"テレビ放送"とは異なるものだが、しかしテレビ受像機で愉しむ時間を奪い合うという点では、ライバル関係といえる。

テレビ受像機側のネット対応もhuluが日本に進出した時よりも進んでおり、良いタイミングでの上陸ともいえる。ネットフリックスの成否によっては、映像ビジネスの枠組みが大きく変わっていくことになるかもしれない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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