日本の半導体が「凋落」を経て決断した新たな戦略 挽回、推進、布石の3ステップで巻き返せるか

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自動車向けなど用途の拡大で活況を呈する半導体。その安定調達は経済安全保障に直結するとして国も本腰を入れて支援に乗り出している。

今年5月、岸田文雄首相は次世代半導体について日米の有識者らと車座で意見交換した(写真:時事)

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「量子コンピューターやAI(人工知能)を実装するために、次世代半導体の実用化に大胆にチャレンジしていかなければならない」。

5月13日、岸田文雄首相は次世代半導体の強化を話し合った車座会議の冒頭でこう述べた。アメリカからはIBMシニアバイスプレジデントのダリオ・ギル氏、国内からは理化学研究所理事長の五神真氏らを総理官邸に招き、1時間にわたって意見を交わした。

桁違いの計算性能を持つ量子コンピューターが2030年代に実用化されると、現在のコンピューターでは事実上不可能な、膨大な組み合わせの中から最適解を探す計算処理が可能になる。医薬品開発にかかる計算時間が劇的に短縮できるなど、非連続的な社会変革さえ起こるといわれる。

次世代半導体の重要性は岸田首相にも伝わった

「量子コンピューターは新しい社会インフラになる。社会実装に向けたレースはまだ始まっておらず、日本が存在感を発揮できる可能性がある。その実用化段階でどうしても必要なのが、回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の最先端の半導体だ」

経済同友会副代表幹事でJSR名誉会長の小柴満信氏はそう話す。小柴氏も車座会議に出席。量子コンピューターと次世代半導体の重要性は岸田首相に十分伝わったと感じる。

将来ますますキーパーツとなる半導体について、強化策を主導しているのが経済産業省だ。経産省は有識者や産業界の関係者を集めて、2021年3月から「半導体・デジタル産業戦略検討会議(半デジ会議)」を開いている。

同会議で経産省が示したのが、「我が国半導体産業復活の基本戦略」と題された3つのステップだ(次ページ表)。内容を要約すると、半導体生産能力の「挽回」、次世代半導体開発の「推進」、将来技術への「布石」となる。

ステップ1では、半導体の製造拠点を国内に確保する。

その第一手となったのが台湾TSMCの工場の国内誘致だ。TSMC、ソニーグループの半導体事業子会社、デンソーの3社合弁による熊本県での半導体工場設立計画を認定し、最大4760億円の補助金を国が支給する。

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