半導体支援の「国策」、日本は果実をどう得るか 岸田首相や経産省に提言する「キーマン」を直撃

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半導体産業の復活に向けての政策を話し合う「半導体・デジタル産業戦略検討会議」。その会議のキーマンに、半導体産業の行く末を聞いた。

小柴氏はJSRで半導体の製造に必要な「フォトレジスト」の事業に長く従事してきた(撮影:今井康一)

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国策として半導体産業の復活に向けての政策を話し合う「半導体・デジタル産業戦略検討会議」。経済産業省が主導する形で、学者や半導体、IT産業の経営者らを集めて、2021年3月から2022年4月にかけて5回ほど開催された。
その「検討会議」のキーマンの1人が、経済同友会副代表幹事で、半導体材料大手のJSR名誉会長を務める小柴満信氏だ。小柴氏は、東哲郎・東京エレクトロン元会長などとともに、岸田文雄首相との車座会議にも出席。政治や行政に対し、半導体支援策を提言している。なぜ今、半導体産業に対して国の支援が必要なのか。小柴氏に聞いた。

海外勢との連携が重要になる

──日本政府は、台湾TSMCの誘致や、次世代半導体の開発で日米連携を進めるなど、半導体産業への支援を強めています。どう評価しますか。

僕はすごく評価している。

半導体は日本の製造業に欠かせないインフラだが、先端半導体の製造拠点が日本に1つもないのはまずい。TSMC誘致によってそれが確保できたのは評価する。

ただ、TSMCが熊本で製造するのは12ナノメートルや16ナノメートルの半導体だ。その先、最先端の2ナノの半導体が量子コンピューターには絶対に必要。同時に、半導体産業を育成するにも、需要先である量子コンピューターが絶対に必要。その最先端に国がコミットするのは、非常にいいことだ。

国民の血税を使うのだから、出てくる成果は非常に重い意味を持つ。しかし、かつての国策のようにオールジャパンでやるのではなく、海外勢と連携することが重要だ。

成果のすべてが日本に還元されることにこだわると失敗する。雇用確保も含め、カーボンニュートラルや生産性の改善、経済安全保障といった社会課題の解決という形で、還元される成果を見ていくべきだ。

──TSMCと日本企業約20社が半導体の「後工程」に関する共同研究開発を始めるなど、日本の「後工程」にも注目が高まっています。

半導体ってなんとなく平らなものに見えるけど、実は高層ビルのような複雑な立体構造をしている。それを形作っているのが後工程だ。それだけ複雑なので、実績がないものは大量のシミュレーションを要し、置き換えコストが高い。

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