元駿台人気講師が伝授「話し方で集中力が一変する」オンライン授業のコツ 対面と同じ方法では信頼関係の構築はできない

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そのため、「これから話す内容を聞き入れるに値する人間である」ということを聴き手にしっかり伝えます。講師は、「自分が聴き手にとって信頼に値する話し手か?」という視点をまず持たなければならないのです。

信頼や信用を得たいとき、どうすればよいのか? 逆から発想してみるとわかりやすいでしょう。つまり、「不信」──信用や信頼がない状態──から考えてみます。

社会心理学的な観点では、「不信」とは「未知」と「不安」から生まれるとされています。つまり、相手の「未知」と「不安」をなくすための情報を提供することが効果的なのです。

それでは、具体的に何をすればよいのでしょうか?

相手の「不安」を取り除く2つのこと

オンラインでは、ファーストコンタクトでの信頼関係の構築が対面に比べ難しくなります。相手に届く自分の情報がどうしても減ってしまうため、相手の警戒心を解くのに時間がかかってしまうからです。

そのため、オンラインでは、初回の講義以降も、しばらくの間、信頼関係の構築に注力することが重要となります。

具体的には、以下の2つを入念に行うことです。

1.  自己紹介を厚くする
2.  生徒の“生の声”を集めて、そこにコメントする

1つずつ説明していきましょう。まずは、「1. 自己紹介を厚くする」についてです。

ファーストコンタクトでの「自己紹介」。初めて会う生徒にどのような自己紹介をするか、決まっているでしょうか?

少なくとも、話し手である教師や講師の威厳やオーラのようなものは、オンラインでは伝わりにくくなります。上半身だけでは服装によって醸成されるイメージ効果は半減されますし、全体が映ったとしても、身長などもわかりにくいため、そういった情報に頼ることはできません。そのため、話し手自身のことを対面以上に語らなければなりません。

「自分は今、具体的にどんな仕事をしているのか?」「これまでどんなキャリアを歩んできたのか?」「なぜ、今、その場にいるのか?」「今後、どのようなことをしていくつもりなのか?」──。

これまであまり話してこなかった、もしくは、時間をかけて少しずつ小出しにして話してきた自分自身の情報を、ファーストコンタクトのタイミングでしっかりと伝える必要があるのです。5〜10分間くらいは、科目の内容とは別に、自分自身のことを伝えられるようにしましょう。この話をすると、

「自分の話をそんなにして、生徒には飽きられないだろうか……?」

と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、基本的に初対面であれば、相手もこちらに興味を持ちやすい状態なので問題ないはずです。また、口頭だけの自己紹介で単調になったりするなど、うまく伝えられない場合は、ライブ型講義であれば、パソコン画面を共有する機能を使うとよいでしょう。

オンデマンド型講義で電子黒板やモニターを使えるのであれば、話の合間に動画や写真のような静止画を入れるなどして、メリハリをつけたり、説明をしやすくしたりすることもできます。

オンライン授業における生徒の声の生かし方

続いて、「2. 生徒の“生の声”を集めて、そこにコメントする」について説明します。ポイントは、できる限り生徒に対して質問することです。

答えを聞くことにより、相手の情報(学力レベルやニーズ)を入手することも大事ですが、何より「この人は、私(たち)に関心があるのか?」という不安を払拭しながら、話し手に対する警戒心を解きほぐしていくことが重要です。

私自身は、18年から始めた企業向けのオンライン研修で、手を挙げてもらう代わりにリアクションボタンを押してもらう、アンケート機能を使って答えてもらう、発言するときにはチャット機能で書き込んでもらうようにしてきました。

なんと、20年に東京大学で実施したオンライン授業によるアンケートでは、オンライン化したことで質問しやすくなったと回答した生徒が回答者のうちおよそ31%もいたそうです。

つまり、オンラインになることで、生徒が自らの情報を発信しやすくなったといえます。これはとても大きなメリットです。対面では発言を躊躇していた生徒も、オンラインになると、チャットやメールで発言できます。

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