トム・クルーズが「銀幕イケメンスター」を貫く訳 「トップガン マーヴェリック」で観客を魅了
テレビ俳優が映画俳優に昇格するのは非常に難しいことで、ブルース・ウィリスはまれな成功例とされてきた。だが、ネットフリックスなど配信ドラマが映画並みの製作費を投じてオリジナルドラマや映画を作るようになった今は、ニコール・キッドマン、コリン・ファース、レネ・ゼルウィガーのようなオスカー俳優もドラマに出ている。
映画スターが次々に配信作品に出演するようになったことから、テレビの賞であるエミー賞は、もはやアカデミー賞とあまり変わらない顔ぶれになってきた。もともと尊敬されている映画スターがエミー賞にノミネートされると、かなりの確率で受賞する。テレビや配信に出ることは、そうやって新たな賞をもらい、自分のエゴをくすぐるうえでも効果的なのである。
だが、トム・クルーズは違う。この7月で60歳になる彼は、昔ながらの映画スターの定義を頑固に保ち続けている。彼は絶対にテレビにもコマーシャルにも出ない。さらに、いかにも映画スターらしい作品と役ばかりを選び続けているのである。
王道アクション映画にこだわる
『トップガン』はもちろん、彼が出るのは、『ミッション:インポッシブル』『オブリビオン』『バリー・シール/アメリカをはめた男』『アウトロー』など、ビッグスクリーンで見たい、アクションがたっぷりある映画だ。
その傾向は、ますます顕著になっている。10年前にはコメディミュージカル映画『ロック・オブ・エイジス』に出たし、1999年の『マグノリア』では助演男優部門でアカデミー賞に候補入りした。しかし、近年の彼はそういった映画に助演で出ることに興味はない。
そして、出演したアクション映画で、彼はまだ自らスタントをやるのだ。それは、彼がプロデューサーでもあるからできることだと言える。もちろん、俳優もある程度はスタントをやるし、そのために厳しい特訓もする。だが、ケガをされて撮影に支障が出ては困るので、危ないことはスタントダブルにやってもらわないといけないのだ。車が大好きで運転が得意な故ポール・ウォーカーですら、「『ワイルド・スピード』1作目ではほとんど自分で全部やれたのに、もうやらせてもらえないことが多くなった」とぼやいていた。
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