北海道新幹線「並行在来線」理不尽な廃止の裏事情 データを精査せず、強引にバス転換を決定

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廃止、バス転換が決まった函館本線の余市駅(写真:まさくん/PIXTA)

函館本線の長万部―小樽間の存廃を話し合う北海道新幹線並行在来線対策協議会の後志ブロックで最後まで鉄道の存続を訴えかけていた余市町を含む余市―小樽間の廃線が決定された。

輸送密度が2000人を超えている余市―小樽間が廃線決定された理由は「国からの運行経費の補助がないこと」と「バスを中心とした新たなネットワークを構築」するという北海道庁の口約束だけだった。

なぜ、このような意思決定が行われるに至ったのか、その背景を取材した。

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余市町の鉄道存続の意思表明

余市町が公式に鉄道路線の存続の立場を表明したのは2019年7月に開催された第6回並行在来線対策協議会でのことだった。この時に初めてJR北海道側から余市―小樽間の輸送密度が公開され2144人であることが判明した。

JR北海道が「単独では維持が困難」と発表した路線や、JR西日本がローカル線見直しの意向を示した路線の輸送密度は、いずれも2000人未満だ。

こうしたことから、余市―小樽間の存廃議論については、別途、北海道庁と小樽市、余市町の3者による個別協議の場に移されることになった。

余市町独自の取り組みとしても、鉄道存続に向けての機運を高めるために2021年10月には鉄道解説系ユーチューバーの鐵坊主氏と余市町長の齊藤啓輔氏や町担当者を交えたオンライン会議を合計3回開催。全国各地の鉄道ファンから1000件を超える存続に向けたアイデアが寄せられ、全国的な注目度の高さも明らかになった。

また、関係者に話を聞く中で、個別協議の場に有識者として招聘された鉄道コンサルタントの阿部等氏から詳細な鉄道再生プランが提案されていたこともわかった。

その内容は、長万部―余市間の早期のバス転換によって生じる年25億円に上る同区間の赤字回避分を財源として、余市ー小樽間を運行する第三セクター鉄道を設立。利便性向上のための投資を行い、列車本数の高頻度化や多駅化を実施。売り上げと利用者の大幅な改善を図るというもので、売り上げについては1.8億円から段階的に5.4億円まで引き上げる計画で、黒字経営も可能と試算されていた。

この数値は、JR西日本・富山港線(富山県)を第三セクターの富山ライトレールに移管し輸送密度を1975人から3000人台にまで増加させた実績や、甘木鉄道(福岡県・佐賀県)や松浦鉄道(長崎県)での改善実績を根拠としていた。

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