必修化から2年、進まぬ小学校プログラミング教育の底上げ目指す「Type_T」とは はじめの一歩には「アワーオブコード」がお薦め

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もともとICTが好きで、12年くらいから、クラブ活動や学級活動の時間を利用して学校のコンピューター室で、子どもたちと文部科学省のプログラミングのコンテンツである「プログラミン」で遊んだりしていました。

17年に告示された新学習指導要領において、20年度から小学校でプログラミング教育が必修化されると知り、自身のブログでプログラミング教育について発信するうちに教員や教育関係者とつながり、19年3月、IT企業サイボウズ本社を会場に、先生だけのプログラミング勉強会「WATCHA!? プログラミング」を企画しました。その会が大盛況で、「今後もプログラミング教育について考えたり、広めたりする場をつくっていこう」と。当時の有志メンバーと立ち上げたのが、「Type_T」です。

同年の12月、小学6年生理科の「電気の利用」単元に、プログラミングを取り入れた模擬授業イベントを開催しました。その後も、さまざまなプログラミング教育の実践について、主にオンラインで定期的に交流しています。21年10月に「NPO法人 タイプティー」として認証され、現在は、小学校教員を中心に全国で約100名の会員がいます。本団体の趣旨に賛同してくださる企業さんは、準会員として新しいプログラミング教材を会員に試してもらったり、意見交換などができる仕組みになっています。

「Type_T」は小学校教員を中心に全国で約100名の会員がいる

――「Type_T」の活動で大切にしていることを教えてください。

プログラミング教育の教員コミュニティー「Type_T

「Type_T」は、「と(T)にかくや(y)ってみるプ(p)ログラミング教育(e)ティ(T)ーチャーズ」の略です。

全国各地でICT機器活用による教育改革に取り組み、小学校でのプログラミングの普及において多くの実践を重ね、本団体にも協力いただいている平井 聡一郎先生(情報通信総合研究所 特別研究員)は、日本中の学校や先生に、「(まずは)つべこべ言わずやってみろ」と呼びかけています。このメッセージをアレンジし、団体の名称に取り入れさせていただきました。

学校の先生はまじめで、「まず自分がたくさん知識を得ないと子どもたちに教えられない」と、自らハードルを高く設定してしまう傾向にあります。何のサポートもない状態で踏み出すのは勇気が要りますが、周りに仲間がいて、困ったときには質問できる状態であれば、「まずはやってみようかな」と思うものです。

校内や地域でプログラミング教育を学ぶ機会がなかなか得られないけれども、興味があったり「授業で実践してみたい」と思ったりしている先生は、このようなコミュニティーに参加して仲間をつくることで、実践を聞いたり学んだりしながら自身の知識を深め、子どもたちや周りの教員に広めることができるのではないでしょうか。

「micro:bit」を活用し、理科×プログラミングの授業を

――プログラミング教育によく使われる教材は?

自分の描いた絵と「メガネ」と呼ばれるツールで絵を動かしたり変えたりするプログラムを作る「Viscuit(ビスケット)」、画面上のブロックを組み合わせてプログラムを作る「Scratch(スクラッチ)」がよく知られています。イギリスのBBCが主体となって作成した小型のコンピューター「micro:bit(マイクロビット)」も、少しずつ使われるようになりました。

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