知識や教養が身に付く、東大生3人が厳選「勉強と人生に役立つ漫画」20冊 「読書量と学力は相関する」に漫画は入るか

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ヨルムンガンド 1 (サンデーGXコミックス)
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もう1つは『ぬらりひょんの孫』(椎橋寛/集英社)です。主人公は一見すると普通の中学生だけど、実は妖怪と人のクオーターで、自分の出自に葛藤するシーンがあるんです。僕自身もルーツが韓国だったので、主人公と生い立ちが重なる部分があって。自分の大事な礎、アイデンティティーを築いてくれた作品です。

田之倉 私は、キャラクターに影響されることが結構あります。音大生を描いた『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/講談社)でピアノを習い始めたり、自転車競技の『弱虫ペダル』(渡辺航/秋田書店)でロードバイクに乗り始めたり。『ヨルムンガンド』(高橋慶太郎/小学館)では、武器商の女性に憧れて、自分の中のリーダー像になっています。

西岡 作中の言葉に心を動かされることも多いですよね。

BILLY BAT(1) (モーニング KC)
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『20世紀少年』(浦沢直樹/小学館)をはじめ浦沢作品が好きなんですが、『BILLY BAT』(浦沢直樹・長崎尚志ストーリー共同制作/講談社)では、「お前の役割はなんだ」というセリフが繰り返されます。登場人物が何かの役割を与えられて、それに動かされていくのがフィクションの鉄則ですが、現実社会も同じ。レゾンデートル(存在を正当化する根拠)を感じさせる漫画です。

身近なところでは、子育て中の母親の日常を描いた『毎日かあさん』(西原理恵子/毎日新聞社)。このお母さんがとにかく適当で。普通の人なら怒るようなことを楽しんで、深刻なことも大したことないって受け流す。入試に落ちたときに読み返して、そうだね、深刻に捉えすぎたねって思わせてもらいました。

漫画だって幸せや努力の本当の意味を教えてくれる

──自分に元気や勇気を与えてくれたりする作品はありますか?

いつかティファニーで朝食を 14(完) (BUNCH COMICS)
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田之倉 基本的にスポ根漫画ですね。『ハイキュー!!』(古舘春一/集英社)とか『ダイヤのA』(寺嶋裕二/講談社)とか、努力して頑張る人を見ていると、自分もやるぞって気持ちが湧いてきます。

他人と比べてつい落ち込んでしまうときは『いつかティファニーで朝食を』(マキヒロチ/新潮社)。仲のよいアラサー女性4人の生き方を描いた作品で、日常の中にある小さな喜びに気づくことが、幸せになるための近道だってことを学びました。

西岡 僕は『3月のライオン』(羽海野チカ/白泉社)。主人公は孤独な高校生プロ棋士。棋士って努力しても勝てるかどうかわからない。才能という壁に阻まれることもある。だけど、本気で取り組む過程で、自分の人生が勝ち負けだけではない部分で満たされ、豊かになることだってある。頑張ることの意味を説教くさくなく教えてくれる秀作です。

もう1つ挙げるなら『チ。―地球の運動について―』(小学館/魚豊)ですね。地動説がテーマで、知識欲は人間の根源的欲求だと思わせてくれる。ただし、欲もきちんと扱い考えなければ危険だという、バランスの難しさも感じさせてくれます。

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