大暴落に大慌て?「仮想通貨推しセレブたち」の今 リスク無視のイケイケトークに批判ブーメラン
「勇気は過程」と題する仮想通貨取引所Crypto.com(クリプト・ドットコム)の最新コマーシャルでは、バスケットボールのスター選手ジョエル・エンビードがフィラデルフィアを歩く映像に、同選手を大学時代にコーチしたビル・セルフのナレーションが重ねられている。
「私たちが選んだ道がほかの誰からも理解されなくても、私たちは前に進み続けた」。5月6日に公開されたコマーシャルの中でセルフはこう語る。「私たちは前に進み続ける。彼らが自分たちも同じ道を選んでいればよかったと後悔するまで」。
だが、そこでは語られていない事実がある。仮想通貨市場は今、大暴落中だということだ。しかも、こうした宣伝には投資家に対する注意喚起が見られない。
詐欺が蔓延する仮想通貨の宣伝責任
ここ1年、ハリウッドのセレブからトップアスリートに至るまで、著名人の仮想通貨熱は最高潮に達していた。ソーシャルメディアやインタビュー、さらにはミュージックビデオの中でまで、著名人たちは仮想通貨を流行の最先端を行くヒップなカルチャーと哲学を備えた世界として描いていた。従来の金融よりもインクルーシブ(包摂的)で、しかも大儲けできる可能性があるというわけだ。
今年のスーパーボウルには「クリプト(仮想通貨)ボウル」のニックネームがつけられた。というのは、仮想通貨関連の広告があまりにも多かったためだ。ビッグな著名人が出演する広告も少なくなかった。ちなみに、スーパーボウルの広告料は30秒枠で700万ドルもする。
ところが今月に入ると、仮想通貨が暴落。投資家の目の前で何千億ドルという資金が溶けたことで、仮想通貨推しの著名人らは強い批判にさらされるようになっている。リスクをしっかりと知らせることなく、無防備なファンの仮想通貨投資を促す手助けをしたという批判だ。服や食品などセレブが宣伝するほかの多くの商品と違って、仮想通貨の市場は不安定で、詐欺も蔓延している。