芸能人の自死関連報道は絶対に見てはいけない訳 臆測混じりの推察は危険、「相談窓口」誘導への疑問

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今の流れは危険をはらんでいます(写真:Graphs/PIXTA)

ダチョウ倶楽部・上島竜兵さんの訃報が伝えられた5月11日の朝以降、テレビの情報番組は大半の時間が割かれ、ネット上のエンタメ記事を埋め尽くすなど、関連ニュースが次々に報じられています。

12日に入っても朝からビートたけしさん、出川哲朗さん、山田邦子さん、松本人志さんらの追悼コメントが次々に報じられているほか、出演番組での姿を振り返り、ギャグなどの芸を紹介し、芸人仲間との絆を採り上げ、著書のコメントをピックアップし、なじみの飲食店スタッフや恩師に話を聞くなど、さまざまな角度からの報道が見られます。

また、自宅へ押しかけるなどの報道姿勢は論外でしたが、それ以外でも、暗に死を選んだ背景を探るような報道が少なくありません。さらに、俳優・渡辺裕之さんに続く訃報だけに、関連性の有無や連鎖の不安を採り上げるような報道も見られます。

しかし、芸能人の自死にまつわる報道は、見るほどに自分へのリスクが高まる怖いもの。ショックや悲しさがあっても、できるだけ見ないほうがいいものであり、その理由を2万組超の悩み相談を受けてきたコンサルタントとしての経験、また、メンタルヘルスの取材を続けてきた経験をもとにつづっていきます。

情報がなくても長尺で放送したい

現在、最も目につくのは、「コロナ禍で芸がしづらくなったのでは」「志村けんさんの死去が影響しているのでは」などと死の背景を推察するメディアの多さ。「それが今回のことと直接結びつくかどうかはわかりません」などの断りを入れつつ、さぞ意味ありげな報じ方をしているのです。

しかし、今それらを急いで推測することで、人々のショックや悲しさを増大させる必然性はどこにもありません。むしろショックがやわらいだあとに落ち着いた状態で掘り下げていくほうが、故人を偲び、情報の正確性を上げることにつながるでしょう。ショックを受けた人が多い中、急いで報道を続けるメディアが多いのは、ビジネス的な要素が大きいことを知っておいてほしいのです。

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