日本の教育は「1割」が動けばガラッと変わる!?「前年踏襲」の学校文化を断ち切る光 土佐兄弟卓也が先生に疑問をぶつけた【後編】

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卓也:ご自身の教育と息子さんの学校との教育にギャップを感じたら、どう対応されるんでしょうか。

蓑手:僕も学校側の人間でもあるので、「言われても迷惑」「処理できない」という事情はよく理解できます。とはいえ、僕の教育観と学校の教育にかなりのギャップがあるのも事実です。そこで実行していることが2つあって、1つは、登校するかしないかを息子に選ばせています。毎日、「今日は学校行く?」と聞いて、結果として1週間休んだ時期もありました。

もう1つ、宿題のやり方も選ばせています。実は、僕は宿題には反対なんです。家で宿題に時間を費やすくらいなら、家族としゃべったり、好きなことを突き詰めたりすべきだと思っています。実際、「宿題と学力の相関はない」と国際的な研究結果からもいわれているんです。「宿題によって忍耐力が養われる」という声もありますが、個人的には無関係だと思っています。むしろ宿題が生み出すのは、無意味な作業を強制されて勉強が嫌いになる子どもと、生産性のない仕事を持ち帰って家で残業することに慣れた社会人、この2つです。一刻も早くやめたほうがいい。

とはいえ、学校側への配慮は必要だと思います。先生にも立場がありますし、ほかの何十人もの児童を巻き込むのもよくないですから、「宿題を廃止しろ」とか「うちは絶対に提出しません」と言うことはありません。

卓也:な、なるほど。一理あるかもしれないっすね……。親はつい、わが子と先生の1対1の関係で捉えてしまいますが、先生は1クラス40人の生徒を見ていると思うと、ある程度折り合いをつけるべきかもしれませんね。小学校は密にコミュニケーションを取ってくれるものだと、過度に期待しちゃっていました。

先生が忙しすぎると、親の不満が爆発する

蓑手:もちろん、学校と家庭の連携は間違いなく大事です。公立学校ではなかなか手が回りませんが、多くの先進的な学校では親とのコミュニケーションをかなり重視しています。ヒロック初等部も、要望のある家庭には個別にオンライン面談をして「〇〇ちゃんのすてきなところはこういう部分ですよね」といった会話をします。勉強会や座談会も開催しているのですが、保護者会とは違って親にも気づきがありますし、学校側の考え方が変わることもあります。卓也さんのおっしゃるとおり、学校と家庭の連携は本来とても重要です。

卓也:親としてはオンラインで数分話せるだけで安心できますし、僕もLINEでいいからカジュアルに情報共有ができるとありがたいなと思います。

蓑手:そうですよね。まさにヒロック初等部はSNSのようなツールで親御さんとつながり、毎日授業の様子を写真付きで共有していますし、不安や疑問があれば気軽に送ってもらっています。場合によっては、「Zoomで話しましょうか」と誘導することもありますね。そこで気づかされたのが、公立小学校の親御さんには、こうした不安や疑問がずっとたまっていたんだなということです。そこに噂などが入ってさらにネガティブな解釈となり、「もう我慢できない」となってからしか、教員と話す機会がなかったと思います。

卓也:小さな不安や疑問でも、長い間放置されれば、大きな不満として爆発してしまいますよね。

蓑手:面談する頃にはすでに学校や教員に疑心暗鬼になっているケースも多いですから、本当は根本的な対策を練らなければいけませんよね。

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