撮り鉄が荒れない、東武鉄道「SL戦略」演出の妙技 毎日運行して混雑を回避、他社の手本になる?
東武鉄道がSL列車を運行するのは栃木県内のみだ。鬼怒川線の下今市―鬼怒川温泉間12.4kmと日光線の下今市―東武日光間7.1kmで、私鉄では関東最大の路線網を誇る東武鉄道にとってはほんの短い区間である。運転本数は鬼怒川線を走る「SL大樹」が多く、日によって鬼怒川線、日光線双方をVの字に走る「SL大樹ふたら」としても運行する。
車両はバラエティに富んでいる。蒸気機関車C11にはヘッドライトが1個のものと2個のものがあり、両者で印象がかなり違う。客車はオリジナルのブルーのものと茶色(旧型車両をイメージ)のものがある。そして多くの列車は反対側にディーゼル機関車DE10を連結、オリジナルの朱色のものと、ブルー(北斗星の機関車をイメージ)のものがある。これら車両が日によってさまざまな組み合わせで運転される。
週末中心に2編成とも運転される日もある。どの車両がどの列車に使われるかは東武鉄道のHPで確認できる。
冬の平日、1編成のみながら、鬼怒川線と日光線双方を運転する日に訪ねてみたが、思いのほか充実した1日だった。
撮って乗って充実の日帰り旅
浅草を早朝6時台の列車で出発、南栗橋乗り継ぎで下今市に到着すると、側線にSL列車に使われる客車がすでにスタンバイ、機関車連結の準備が進められていた。
SL列車のダイヤは午前中に東武日光へ行き、そこから東武日光発下今市経由鬼怒川温泉行きとなり、最後は鬼怒川温泉から下今市に戻る行程だ。下今市と鬼怒川温泉には機関車の方向を変えるターンテーブルがあるが、東武日光にはターンテーブルがないので、東武日光から下今市の間は蒸気機関車が最後部になる。
そこで、下今市から一駅先の上今市へ先回りし、上今市駅周辺でまずはSL列車を撮影することにした。ここで狙えば蒸気機関車が先頭になり、日光への上り坂なので煙も期待できる。
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