「Dr.コトー」のモデルがいた島の医療は今… 離島・へき地医療が突きつけられている現実
離島やへき地が「医師不足」になる根本理由
——やりがいのある仕事である一方で、多くの離島やへき地では、医師の確保が大きな課題になっています。
齋藤 1つはね、医学部で勉強してても、離島で働くって存在自体が、あんまり選択肢に乗らないですよね。大学でやってると、離島で働く医者に会ったこともないんで。初期研修2年間で、離島で働く医者にも会うこともないんで。
僕も医者4年目になって、初めて瀬戸上先生に会って、離島の医者っていう存在があるのを知ったんで。選択肢が学生の段階からメニューの中に提示されていれば、もう少し増えるかもしれないなと思ってるんですよね。
——診療所では、積極的に研修医を受け入れていらっしゃいます。
齋藤 全国から来てて、大体1カ月に1人か2人来てくれてますけど、例えば、東京や神奈川とかですね、関東からも来るし、山口や兵庫、鹿児島からも来るし、福岡からも来てくれる、全国から来てくれますね。

あとは将来、総合診療医を目指さなくても、小児科の先生が、研修医じゃなくても1カ月間勉強に来たりとか。基本的にはやる気があって見てみたい人は、受け入れる形でやってますけど。
コロナの時期に受け入れるのをどうしようか悩んだんですけど、コロナも来ませんでした、だけど結局、医者も来ませんでしただったら、コロナはゼロだけど、なんか医療もなくなってしまうんで。そのリスクはあるかもしれないけど、来たいドクターの受け入れは、できるだけ積極的にやっていこうと思ったんですよね。
——島民にとってもメリットがありそうですね?
齋藤 正直あると思うんですよね。ずっと僕たちが診ている患者さんたちも、僕たちにはたぶん言えないようなこととか、外から来た若い先生とかね。 「もっといい薬ないの?」とかっていうのよく聞こえたりするんで。
患者さんにとっても息抜きにもなるし、いいだろうなと思いますけどね。毎回、医者が違ったらあれですけどね。僕たちが7割8割診てて、時々ぽんっと空気を変えるように来てくれればいいかもしれないし。
実際、患者さんたちも、若いドクターが来たら「この傷は瀬戸上先生に縫ってもらったんだ」とか、時々、教えてくれたりしてるんで、患者さんにとっても、若い医者を育ててやってるんだっていうのがあるかもですね。
医療の「質」をどう確保すべきか
——医療の「質」をどう確保すべきだと考えていますか?
齋藤 医療の質を考える前に医療の量。医者が2人いて看護師が15人いてという、まず量の確保の維持が大事だなってすごく思ってて。
質を求めればきりがないんですよね。だけど、つねに医者が2人いる体制をつくるにはどうしたらいいかとなると。ちょっとなんか逆説的ですけど、高い質を求めれば求めるほど、次に来る医者は来にくくなったり、探しにくくなるんで。
なんとなく、僕自身のスキルを高めて質を高めるというよりは、ちょっと抽象的ですけど、 全体の力を合わせて質を高めていくような形ができたらなと思ってます。





        
        
        
      
        
      
          
          
          
          
        
        
        
        
        











