コロナ禍で大打撃を受けた航空業界にあって、比較的順調だったビジネスジェット。その背景について、客側・会社側の両方から迫る。
航空需要が劇的に落ち込んだコロナ禍。どん底だった2020年度は、国内2強である全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の旅客数が国内線で前期比約30%、国際線で約5%に沈んだ。
大手航空会社が運航する定期便への需要と比べて、持ち堪えたのがビジネスジェットだ。2020年の日本における発着回数は、国内・国際合計で1万3613回で、前年比77%。一定の水準を確保している。
欧米では経営者の「必須ツール」に
ビジネスジェットは個人の都合に合わせて目的地まで飛ぶ、数人から十数人乗りの小型機。公共交通として不特定多数が乗り合わせる定期便とは対照的な移動手段で、「プライベートジェット」とも称される。
主な利用者は、限られた時間を有効活用したい企業の経営層をはじめとする富裕層だ。ビジネスジェットを利用すれば、定期便のダイヤ・路線網に縛られない。そのため、都合のいい時間帯に待ち時間や乗り継ぎもなく、目的地にもっとも近い小規模空港へ到達できる。
多くの機材には社内会議を行えるような机・椅子も準備され、すでに欧米では経営者などの富裕層の間で「必須ツール」として重宝されている。
日本における発着回数も、2010年からコロナ前の2019年にかけて55.7%増と順調に成長してきた。とはいえ、コロナ禍で渡航マインドが沈んだのは間違いない。そんな中でもビジネスジェットが底堅い需要を得た背景には、その特性とコロナ禍で高まったニーズの結実が浮かぶ。
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