金余りの富裕層の間で急速に拡大している、現代アートへの需要。投資や趣味など購入動機はさまざまだが、中には人間の”見え”に由来する部分も。
「2億5000万円、2億5000万円。落札いたします。374番の方、おめでとうございます」。2021年10月、羽田空港(東京都)内で開催された現代アートのオークション会場に、競売人の威勢のいい声が響いた。
落札されたのは草間彌生のアクリル画。1億7000万円からのスタートだったが、会場だけでなく電話やインターネットからの参加者が競り合い、あっという間にこの日の最高価格で落札された。
ほかにもオークション主催者が設定した落札予想価格の数倍以上で落札される作品が相次いだ。この日だけで出品197作品の9割が落札され、落札総額は、実に26億4800万円に上った。
急速に存在感を増すIT系起業家
「経済状況が悪化すると真っ先に売れなくなるのはアートというのが相場だったが、今回は違う。空前の盛り上がりだ」。SBIホールディングス傘下、SBIアートオークションの加賀美令マネージャーはそう話す。2021年10月末に開催したオークションでは、同社としては過去最高の落札総額を記録した。
オークションの参加者でとくに目立つのが、アート初心者とみられる層だ。毎回の参加者のうち、およそ4~5割が新規登録者で、30~40代の男性が大半を占めるという。職業では、会社経営者や医師などのほか、高年収の会社員らも多く参加している。
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